拡大を続ける新型コロナウイルスへの恐怖が広がる中、国内の医療体制に関する衝撃的な事実が明らかになりました。日本経済新聞の調査によると、特別な設備を備えた「感染症病床」の数が、なんと14都道県で自治体の定める基準を満たしていないことが判明したのです。
都道府県は地域の医療計画に沿って必要なベッド数を定めていますが、2019年4月1日の時点で基準を超えて確保できていたのは、福島、山梨、大分、熊本のわずか4県にとどまります。この深刻な現状に対し、SNSでは「もし自分が感染したら入院できるのか」といった不安の声が続出しています。
特に不足が顕著なのは埼玉県です。国が示す計算方法を上回る85床を目標に掲げたものの、現状は70床にとどまっています。同県の保健医療政策課は、専門医の不足や多大な投資負担を理由に、病院側へ設置を働きかけても断られてしまうという苦しい舞台裏を明かしました。
全国の感染症病床の総数は1871床で、基準の総数より36床少ないのが実情です。事態を重く見た厚生労働省は2020年2月9日、ベッドが足りない場合は一般の病床への入院も容認する通知を出しました。しかし、これは医療現場にさらなる負担を強いる諸刃の剣と言えます。
一般病床を使う場合、院内感染を防ぐために個室管理が原則となり、トイレなども一般患者と区別しなければなりません。専門設備のない病院での徹底した管理態勢の構築は、現場にとって大きな足かせとなります。これでは医療従事者が疲弊してしまうのではないかと、私は強く危惧しています。
過去の教訓から学ぶ医療崩壊の危機と、私たちが実践すべき水際対策
東北大学の押谷仁教授は、市中感染、つまり感染経路が特定できないまま街中でウイルスが広がる状態になれば、患者を把握しきれなくなると指摘します。最悪の場合、別の病気で入院している人と同室にならざるを得ないという、極めて危険なシチュエーションも懸念されています。
思い返されるのは、2009年に大流行した新型インフルエンザの教訓です。当時は1年間で約2000万人が感染したと推計され、医療機関の「発熱外来」には受診を求める人々が殺到しました。その結果、本当にケアが必要な重症者への医療提供が遅れるという二次被害が生じたのです。
東京医科大学の浜田篤郎教授は、新型ウイルスは不確定要素が多く、感染者をすべて追跡して封じ込めるのは困難であると語ります。全患者の把握に躍起になると検査機関がパンクし、現場が混乱します。これからは、重症者を早期治療につなげる仕組みへの転換が賢明でしょう。
医療崩壊を防ぐためには、行政のシステム刷新はもちろん、私たち一人ひとりの意識改革が欠かせません。限られた医療資源を守り、社会を守るためにも、市民レベルでの徹底した手洗いや、周囲にうつさないための「せきエチケット」の励行こそが、今最大の武器になるはずです。
コメント