新型コロナで企業業績に暗雲!インバウンド激減とサプライチェーン寸断がもたらす下振れリスクの真相

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大が、日本企業の業績見通しに深刻な影を落とし始めています。特に訪日外国人旅行客を指す「インバウンド」の減少が直撃している航空やホテル業界では、今期の収益低下が避けられない情勢です。ネット上でも「旅行や出張の自粛が相次ぎ、街から活気が消えていくのが目に見えてわかる」といった不安の声が続出しています。さらにこの波は製造業などへも広がり、業績予想を下方修正する動きが相次いでいるのです。

2020年2月7日には上場企業約450社が一斉に決算を発表しましたが、市場の警戒感は最高潮に達しています。例えば、航空機エンジンなどを手がけるIHIは、世界的な中国便の運休により部品販売が落ち込み、最悪のケースで月数十億円規模の減収になると危惧している状況です。現時点で公式な業績の引き下げは行っていませんが、2020年3月の売上高から具体的な悪影響が出かねないと身構えています。

航空大手の日本航空と全日本空輸は、2020年2月7日までに中国路線をほぼ半減させる決断を下しました。両社にとって中国路線は全体の1割強を占める重要ルートです。専門家の試算では、四半期ベースで30億円から50億円の営業利益が吹き飛ぶとされています。現時点では全体への影響は限定的とみられますが、仮に中国以外の地域へと渡航自粛の動きが波及すれば、そのダメージは計り知れないものになるでしょう。

旅行・ホテル業界の現場も、かつてない悲鳴を上げています。西武ホールディングスでは、中国人観光客の激減により約10億円の減収を想定せざるを得ない事態となりました。2020年1月のキャンセルに加え、2020年3月末までの団体予約が全て消滅する最悪のシナリオを視野に入れています。昨秋の台風被害も重なり、2020年3月期の連結営業利益は35億円も下振れする見通しです。

影響は物作りの現場にも及んでいます。ヤマハは中国での楽器販売減少により、売上高が20億円押し下げられる見込みです。全製品の約3割を中国の工場に依存していますが、従業員の安全第一を理由に操業停止期間をさらに1週間延期しました。「代替生産が難しい」という同社の状況は、他産業にも共通する深い悩みと言えます。SNSでは「お気に入りの製品が届かなくなるのでは」と、供給網の寸断を心配する投稿が増えています。

また、遺伝子解析を行うトランスジェニックは、2020年2月7日に連結営業利益の予想を1億5000万円引き下げました。新薬の開発プロセスで病気の原因解明などのために行う「非臨床試験」用の実験動物が、検疫問題で中国から輸入できなくなったためです。専門知識が必要なこの試験は、人間の体を使う治験の前段階として極めて重要なステップですが、必要なサルの調達が滞り、今期中の実施を断念せざるを得なくなりました。

明確な数値を出していない企業の間でも、悲観的なムードが漂っています。ケーズホールディングスの平本社長が「家電製品の多くは中国製であり、あらゆる商品に影響が及ぶ」と語るように、サプライチェーンの麻痺は現実味を帯びてきました。企業の最終的な儲けを示す「純利益」の市場予想を見ても、1月以降は下方修正が目立ちます。アナリストが予想を書き換えた企業の6割が下振れを選択しているのが現状です。

今回の事態を振り返ると、日本の産業界がいかに中国市場やその生産力に深く依存してきたかが浮き彫りになりました。多くの専門家が指摘するように、現在の市場予想はまだ混乱の長期化を十分に織り込めていない印象を受けます。企業には目先の損失対応だけでなく、調達先を分散させるなど、危機に強い強靭な構造への転換が急務です。この試練を乗り越えるための抜本的な経営改革の断行を、切に期待します。

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