2019年07月05日現在、韓国の首都・ソウルでは、ある意外な「日本語」が街のあちこちで聞かれるようになっています。それは、日本の寿司店ではお馴染みの「おまかせ」というキーワードです。店主の感性にすべてを委ねるこの注文スタイルが、いま韓国の若者たちの間で空前のブームを巻き起こしています。
本来「おまかせ」とは、その日の最高な食材を熟知したプロに、料理の構成を丸投げすることを意味する専門用語です。自分に知識がなくても、間違いのない最良の一品に出会えるのが最大の魅力と言えるでしょう。このシステムが寿司の枠を飛び出し、カフェやステーキ店といった意外な業態にまで浸透しているのは非常に興味深い現象です。
若者の街・弘大(ホンデ)で体験する、対話から生まれる究極の一杯
ソウルを代表する流行の発信地である弘大では、2018年頃にオープンした「バラムカフェ」が注目の的となっています。こちらの店舗では、常時30種類を超えるバリエーション豊かなコーヒー豆を取り揃えているのが自慢です。こだわり抜かれた豆のラインナップを前に、多くの常連客が迷わず「おまかせ」を注文するのだそうです。
気になるメニューの価格設定は、1万ウォン(約930円)から5万ウォンまでの3段階が用意されています。3万ウォン以上のコースを選択すると、コーヒーの風味を引き立てる特製のチョコレートやケーキも提供される贅沢な内容です。SNS上では「自分にぴったりの味を見つけられた」「店員さんとの会話が楽しすぎて時間が足りない」といった称賛の声が相次いでいます。
注文の際には「桃やイチゴのような華やかな酸味が好き」といった抽象的なニュアンスを店主に伝えます。すると、その日の気分や好みに合わせて、世界に一つだけの一杯を提案してくれるのです。韓国ではまだ本格的な焙煎店が少ないこともあり、一度に5杯も飲み比べながら2時間以上もコーヒー談義に花を咲かせる熱心なファンも珍しくありません。
冷え込む日韓関係の裏側で、民間レベルの文化交流が花開く理由
2019年07月05日という現在、日韓の外交関係は「史上最悪」とまで形容される厳しい状況にあります。しかし、民間の現場を見渡せば、日本の文化をポジティブに受け入れ、自国の感性と融合させようとする熱気を感じずにはいられません。ステーキ店でも肉の部位や焼き加減を店側に一任するスタイルが定着しており、こうした「おまかせ店」は韓国国内ですでに6店舗以上に達しています。
私は、この現象の根底には「誰かに大切にもてなされたい」という普遍的な欲求があると考えています。店主と客がカウンター越しに向き合い、言葉を交わしながら料理を作り上げていく過程は、単なる外食を超えたエンターテインメントです。おしゃべりを愛する韓国の人々の気質に、日本式のきめ細やかなホスピタリティが見事に合致した結果なのでしょう。
政治的な緊張感とは対照的に、美味しいものを追求する純粋な好奇心が国境を超えていく姿は、未来への希望を感じさせてくれます。2019年07月05日のソウルで見られるこの熱狂は、新しい食の形として今後さらに進化を遂げていくに違いありません。皆さんもソウルを訪れた際は、ぜひ勇気を出して「おまかせ」と伝えてみてはいかがでしょうか。
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