2018年の静岡県内における新設法人の設立件数が、9年ぶりに前年実績を下回ったという衝撃的な調査結果が、東京商工リサーチ静岡支店のまとめによって明らかになりました。具体的には、2018年に新たに設立された法人は2,280社で、これは前年(2017年)と比較して5%の減少を示すものです。これは、世界的な金融危機「リーマンショック」の影響が色濃く残った2009年以来の減少となり、地元経済界に小さからぬ波紋を広げているようです。
この減少傾向について、東京商工リサーチ静岡支店は「景気の先行き不透明感などを受けて、新たに起業(事業を立ち上げること)することへの慎重姿勢が出始めた結果ではないか」との見方を示しています。一概に減少と言っても、起業家精神の減退だけでなく、国内外の経済情勢が複雑に絡み合い、新たな挑戦を躊躇させる要因となっている状況がうかがえるでしょう。読者の皆様のSNS上でも、「やっぱり不況の足音が聞こえている」「新しい事業を始めるには勇気がいる時期だ」といった、未来への不安を訴える声が多く見受けられました。
業種別の内訳を見てみますと、建設業が前年比23%減、不動産業が2%減と、一部の基幹産業で大幅な減少が見られました。これは、資材価格の高騰や人手不足といった構造的な問題に加え、将来的な需要の予測が難しくなっている点が影響していると考えられます。しかし、その一方で、機械器具小売業や金属製品製造業などでは設立件数が増加しており、新しい技術やマーケットに特化した分野では、活発な動きが見られていると判断できます。特に、インバウンド(訪日外国人)の旺盛な需要を背景とする宿泊業は3年連続で増加を続けており、観光産業の好調ぶりが際立っていると言えるでしょう。
所在地別では、浜松市中区が前年比1%増の247社で首位を維持し、次いで静岡市葵区、静岡市駿河区が続く結果となりました。主要なビジネスエリアでの設立が依然として高い水準にあるものの、県全体としては減少しているという事実は、地域間の経済格差の存在を示唆している可能性も否定できません。また、法人の形態別では、株式会社が全体の7割を占めており、これは日本の企業設立において最も一般的な法人格(出資者が株主となり、有限責任を負う形態)としての地位が揺るぎないことを示しています。
後継者不足が深刻化?新設法人と事業停止の差が縮小傾向に
新設法人数が減少する一方で、事業を停止したり解散したりする法人、すなわち事業停止法人数との関係にも注目すべき点があります。2018年の新設法人数は、引き続き事業停止法人数を上回ってはいるのですが、その差が2年連続で縮小しているというのです。具体的に、2018年の事業停止法人数は783社で、前年比で17%も減少しています。これは一見すると良いニュースのようですが、その背景にある休廃業・解散の増加は深刻な問題を内包しています。
事業停止法人が増えている要因の一つとして指摘されているのが、「後継者不足」です。これは、事業を引き継ぐ経営者や人材が不足しているために、業績が良いにもかかわらずやむを得ず廃業や解散を選択する法人が増えているという問題です。私見ですが、この現象は、単なる景気変動の問題ではなく、少子高齢化という構造的な社会問題が経済の根幹を揺るがし始めている明確な兆候ではないでしょうか。新たな事業の誕生以上に、長年地域経済を支えてきた企業の存続が危ぶまれる事態は、県全体の活力にとって大きなマイナスとなるでしょう。今後、行政や経済団体が一体となって、事業承継を円滑化するための支援策を一層強化していく必要があると考えられます。
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