私たちの生活は、スマートフォンやSNS、動画配信サービスといったデジタル技術によって劇的に便利になりました。しかし、これまでの経済を測る物差しであった国内総生産(GDP)だけでは、無料や低価格で提供されるデジタルサービスの恩恵を十分に評価できていないという課題があります。こうした背景を受け、2019年10月09日に野村総合研究所は、デジタルの価値を反映した革新的な経済指標を公表しました。
今回の発表で注目を集めているのが「消費者余剰」という概念です。これは、消費者が「このサービスならこれくらい払ってもいい」と考える支払意欲額から、実際に支払った金額を差し引いた満足度の差額を指します。例えば、無料の地図アプリが提供する計り知れない価値を、金銭的なメリットとして数値化し、従来の経済統計に加味する画期的な試みと言えるでしょう。SNS上では「実感としての豊かさがやっと可視化される」と期待の声が広がっています。
デジタル化の進展を可視化する「DCI」と未来への提言
野村総合研究所は、この新たな指標を軸にコンサルティング事業の強化や政府への政策提言を加速させる方針です。あわせて、地域のデジタル化がどれほど進んでいるかを指数化した「DCI(デジタル・ケイパビリティ・インデックス)」も活用されます。これにより、単なる売上の増減だけでなく、生活の質がどれほど向上したかという多角的な視点での分析が可能になります。数字の裏側にある人々の笑顔や利便性を評価する時代が、いよいよ幕を開けたのです。
編集者としての私見ですが、現代社会において「安くて良いもの」が溢れる中、金額ベースのGDP成長率に一喜一憂するフェーズは終わりつつあると感じます。どれだけ効率的に時間を使い、精神的な充足感を得られたかという「心の豊かさ」こそが、これからの企業の競争力や国家の成長を左右する鍵になるはずです。野村総合研究所が示すこの新しい物差しは、停滞する日本経済に、価値創造という新たな光を当てる重要な一石を投じることになるでしょう。
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