2019年10月28日、日本の電機業界を長年牽引してきたパナソニック(旧松下電器産業)の行く末について、かつて家電営業の最前線で指揮を執った佐久間曻二元副社長が重い口を開きました。1987年から1992年にかけて副社長を務めた同氏は、現在の経営陣に対し、原点である「家電」をより大切にすべきだと強い警鐘を鳴らしています。SNS上では「かつての松下の強さを知る人の言葉には重みがある」といった共感の声が目立ちます。
佐久間氏は、パナソニックがデジタル化の波に乗り遅れた決定的な分岐点を、西暦2000年頃だったと振り返ります。当時、映像技術の主役がブラウン管から薄型へと移行する中で、同社は「プラズマディスプレイ」という選択肢に社運を賭けました。プラズマ方式とは、ガス放電による発光を利用した表示技術のことですが、結果として世界標準となった液晶方式との競争に敗れ、莫大な損失を計上することになったのは記憶に新しいところでしょう。
さらに追い打ちをかけたのが、モバイル端末における地殻変動です。Appleが「iPhone」を世に送り出したことで、それまで日本の電機メーカーが誇っていた高機能な携帯電話、いわゆる「ガラケー」の市場は一気に崩壊してしまいました。佐久間氏は、テレビと電話という、かつての松下電器を支えた「2本の大きな柱」を失ったことは、単なる戦略ミスではなく、企業としての大きな「挫折」であると厳しく分析されています。
私はこの指摘を受け、企業が過去の成功体験に縛られることの危うさを改めて実感しました。特に技術力がある企業ほど、自社の既存技術に固執してしまい、市場の破壊的な変化を見誤る傾向にあります。パナソニックが再び輝きを取り戻すためには、佐久間氏が説くように、生活者の視点に立った「家電の魂」を現代のデジタル技術と融合させ、新たな価値を創造する覚悟が必要なのではないでしょうか。
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