次世代通信規格「5G」の足音が近づく中、日本の製造業が大きな一歩を踏み出しました。日本ガイシは2019年10月25日、岐阜県多治見市において半導体製造装置向け部品の新工場を稼働させたと発表したのです。国内に新たな生産拠点が誕生するのは、2011年の石川工場以来、実に8年ぶりの快挙となります。
今回のプロジェクトを牽引する大島卓社長は、開所式の場で力強い言葉を残しました。半導体市場はすでに最悪の時期を脱しており、中長期的にはさらなる需要の拡大が見込まれると断言しています。この強気な姿勢の背景には、スマートフォンをはじめとするモバイル機器の高度化や、5Gによる通信インフラの劇的な進化があるのでしょう。
ネット上でもこのニュースは大きな関心を集めています。「日本のものづくりが再び活気づくのは嬉しい」といった期待の声や、「5G関連銘柄として目が離せない」という投資家からの熱い視線が注がれています。地域経済への貢献を期待する地元の声も多く、まさに日本中が注目する新工場の誕生と言っても過言ではありません。
生産性を3割向上させる最新鋭の製造プロセス
多治見長瀬テクノパーク内に位置するこの新工場は、物流の拠点としても非常に優れた立地を誇ります。中央自動車道の多治見インターチェンジから車で約10分という好アクセスに加え、名古屋港や中部国際空港へのルートも確保されています。これにより、国内外の装置メーカーへ迅速に製品を届ける体制が整ったのです。
工場を運営するのは、グループ会社であるNGKセラミックデバイスです。ここでは、半導体製造に不可欠な「サセプター」と呼ばれる部品が生産されます。サセプターとは、半導体の基板となるウエハーを載せて保持するための台座のことです。熱や化学薬品に強いセラミックスで作られており、精密な加工技術が求められます。
注目すべきは、約320億円という巨額の投資によって実現した圧倒的な生産能力です。最新鋭の機器を導入し、製造工程の一部を自動化したことで、既存の工場と比較して生産性は3割も向上しました。さらに、一度に複数の製品を加工できる仕組みを取り入れ、サセプターの供給能力を全体で5割も引き上げる計画です。
2019年11月の初出荷を皮切りに、2020年4月にはフル稼働へと移行する予定となっています。当初の計画よりも投資額を120億円積み増し、操業開始を半年も早めた判断からは、世界的な半導体争奪戦に打ち勝とうとする企業の執念が感じられます。これほど攻めの姿勢を見せる日本企業の存在は、非常に心強いものです。
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