東レが革新する次世代テキスタイル!絹の輝きと化学繊維の機能性を両立した新素材「Kinari」の衝撃

日本の繊維技術が、また一つ大きな壁を乗り越えました。東レは2019年11月21日、天然の絹が持つ優雅な光沢感と軽やかさを、ポリエステル長繊維で再現した画期的な布地「Kinari(キナリ)」を発表しました。化学繊維でありながら、手にした瞬間に感じるふんわりとしたボリューム感は、これまでの常識を覆す仕上がりとなっています。

この新素材の魅力は、単なる見た目だけではありません。布地を擦り合わせた際に響く「キュッキュッ」という独特の音は、高級な絹織物特有の「絹鳴り」そのものです。これは、繊維の断面が三角形であるために生じる摩擦音を、東レが誇る精密な技術によって意図的に再現した結果だといえるでしょう。

SNS上では「ついにポリエステルで本物の絹を超えられるのか」「アイロンいらずのシルクなんて夢のようだ」といった期待の声が早くも広がっています。東レ繊維研究所の荒西義高所長も、シワになりにくいといった化学繊維ならではの利便性を強調しており、単なる模倣ではない独自の価値を世に問う構えです。

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極限の精密制御「ナノデザイン」技術が成せる業

この驚異的な質感を実現した背景には、2014年に東レが確立した「ナノデザイン」という独自の紡糸技術が存在します。紡糸とは、熱でドロドロに溶かした原料を、シャワーヘッドのようなノズルから押し出して繊維にする工程を指します。この瞬間に分子レベルで構造を制御し、髪の毛の数分の一という細さの中に、異なる素材を配置するのです。

具体的には、熱による収縮率が異なる3種類のポリエステルを、一本の繊維の断面の中に共存させています。ここで重要な役割を果たすのが、布地に加工した後の熱処理です。素材ごとの「縮み方の差」によって、繊維が天然の絹のように複雑にねじれ、光を柔らかく乱反射させる構造が生まれる仕組みになっています。

さらに、アルカリ処理によって特定の素材を溶かすことで、繊維の間に豊かな空気の層が形成されます。この隙間こそが、圧倒的な軽さと吸い込まれるような柔らかな手触りの秘密です。科学の力で「自然の偶然」をシミュレートするこのアプローチには、日本のものづくりの真髄を感じずにはいられません。

2020年度の本格展開!世界へ羽ばたく静岡・三島ブランド

Kinariの生産拠点となるのは、静岡県にある東レの三島工場です。石井慎二部長は、近年のファッション市場がスポーティーな装いから、より優雅でドレスライクなスタイルへとシフトしていると分析しています。価格は従来の代替素材より1割ほど高いものの、本物の絹に比べれば半額程度に抑えられており、欧州の高級ブランドからの熱い視線を集めるでしょう。

東レは2020年度からこの素材を本格的に売り出し、同年度に3億円、2025年度には20億円の売上を目指すという壮大な計画を掲げています。サステナビリティが叫ばれる現代において、高機能で長く愛用できる新しい選択肢が登場したことは、ファッション業界全体にとっても非常にポジティブなニュースです。

筆者の個人的な見解としても、この「Kinari」は単なる工業製品を超えた「21世紀の工芸品」と呼ぶにふさわしい逸品だと確信しています。天然素材の模倣を入り口としながらも、それを超える機能性を持たせる手法は、資源の少ない日本が世界で勝つための最強の武器になるはずです。これからの衣服がどう変わっていくのか、目が離せません。

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