日本の液晶パネル産業を背負って立つジャパンディスプレイ(JDI)が、今まさに未曾有の荒波に飲み込まれようとしています。同社は2019年12月02日、過去の決算における不正の有無を解明するため、外部の専門家を交えた特別調査委員会の設置を公表しました。事の発端は、約5億7800万円という巨額の資金を着服したとして懲戒解雇処分を受けた、経理担当の元幹部による衝撃的な告白にあります。
その元幹部は、自らの不正が露呈した後に「過去の決算で経営陣の指示により、不適切な会計処理を行っていた」という趣旨の通知を会社側へ送っていました。ここで言う不適切な会計処理とは、企業の財務状況を実態よりも良く見せるための「粉飾決算」に近い行為を指す可能性が含まれています。しかし、真実を語るはずだったこの元幹部が、2019年12月01日に東京都内で亡くなっていたことが警視庁への取材で明らかとなり、事態は悲劇的な局面を迎えました。
ネット上では「ドラマのようなドロドロとした展開で恐ろしい」「闇が深すぎる」といった、驚きと恐怖を隠せない声が次々と上がっています。特に、自死を選んだとみられる元幹部が残した「経営陣からの指示」という言葉は、組織ぐるみの不正を予感させる重い響きを持ってSNS上を駆け巡りました。投資家の間でも、JDIの企業統治(ガバナンス)に対する不信感が爆発しており、再建の土台そのものが崩れかねない危機感を抱かせます。
難航するスポンサー探しと不透明な未来
JDIは現在、深刻な資金不足を解消するために外部からの金融支援を模索していますが、今回の疑惑はこの交渉に冷や水を浴びせる形となりました。2019年04月に示された支援の枠組みからは脱落者が相次ぎ、期待された中国ファンドも2019年09月末に離脱を通知したまま、復帰の気配を見せていません。過去の決算の正当性が疑われる状況では、新たな投資家が二の足を踏むのは当然の帰結と言えるでしょう。
こうした苦境の中、菊岡稔社長は2019年12月中旬を目処に支援の枠組みを固めたいという意向を示しています。交渉相手として独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントの名が浮上していますが、同社は現状で沈黙を保ったままです。一方で、主要取引先である米アップルが代金支払いを早めるなどの「救いの手」を差し伸べているものの、公的資金を背景に持つINCJ(旧産業革新機構)とアップルの支援に頼り切りという、綱渡りの経営状態に変わりはありません。
個人的な見解を述べさせていただくなら、液晶という日本の技術の結晶を守りたいという意地は理解できますが、不透明な会計疑惑を残したままの延命策には限界があると感じます。企業に求められるのは、徹底した情報の開示と膿を出し切る勇気ではないでしょうか。特別調査委員会による「聖域なき調査」が一日も早く完了し、誰の目にも明らかな誠実さが示されない限り、日の丸液晶の再生に向けた夜明けは遠いままかもしれません。
コメント