2019年12月04日、日本のビジネス界に激震が走るニュースが飛び込んできました。経済団体連合会(経団連)が、2020年の春季労使交渉に向けた経営側の指針案において、長年続いてきた「日本型雇用システム」の抜本的な見直しを訴える方針を固めたのです。これは、デジタル変革の波に取り残されまいとする、日本企業の強い危機感の表れと言えるでしょう。
現在、世界中で「AI人材」の争奪戦が激化しており、専門コンサルティング会社の調査によれば、実務で活躍するAIエンジニアは世界に約45万人存在するとされています。しかし、その内訳を見ると、アメリカの13万人や中国の7万人に対し、日本はわずか1万8千人にとどまっているのが現状です。この圧倒的な数的な劣勢は、将来の国際競争力に直結しかねない深刻な事態です。
年功序列が壁に?世界と乖離する「ITエンジニア」の待遇格差
日本が優秀な人材を惹きつけられない大きな要因として、一律的な給与体系が挙げられます。例えば「データサイエンティスト」と呼ばれる、膨大なデータを解析してビジネスのヒントを導き出す専門家の最高年収を比較してみましょう。日本では年1200万円程度が相場ですが、中国やシンガポールといったアジア諸国と比較しても、実は日本の方が低くなっているというショッキングなデータがあるのです。
「データサイエンティスト」とは、統計学やプログラミングを駆使して未来を予測する、いわばデジタル時代の軍師です。これほど重要な役割を担う人々に対し、勤続年数に応じて給与が決まる「年功序列賃金」を適用していては、自由な働き方と正当な報酬を求めるグローバルな才能に見向きもされないのは当然と言えるかもしれません。
SNS上では、このニュースに対して「ようやく時代が動き出した」「スキルがある若者が報われない構造を変えてほしい」といった期待の声が上がる一方で、「一部の優秀な層だけが得をするのではないか」という不安の声も散見されます。しかし、現状を維持し続けることこそが、日本全体の衰退を招く最大のリスクであることは間違いありません。
日本型雇用のアップデートが切り拓く「2020年以降」の未来
もちろん、すべての企業が手をこまねいているわけではありません。ソニーやNTTデータのように、突出した技術を持つ人材に対して破格の報酬を用意し、従来の枠組みを超えた処遇改善に乗り出す先進的な事例も現れ始めています。こうした個別の動きを、いかに日本全体のスタンダードへと引き上げていけるかが、今後の春季労使交渉における最大の焦点となるでしょう。
私自身の意見としては、今回の経団連の提言は、単なる賃金体系の変更にとどまらず、働くことへの価値観そのものを問い直す契機になると考えています。一律の「新卒一括採用」や「終身雇用」を守ることだけが美徳だった時代は終わりを告げ、個々の専門性が評価される健全な競争社会へと舵を切るべき時が来ているのです。
2020年という節目を目前に控え、日本企業がデジタル時代に即した新たな雇用システムを構築できるのか。労働組合側との議論も含め、今後の展開から目が離せません。世界から「選ばれる国」であり続けるために、私たちは今、大きな転換点に立っています。
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