2019年11月19日、日本のビジネス界に衝撃が走るデータが突きつけられました。世界経済フォーラムが発表した2019年版「世界競争力報告」において、日本の総合順位は141の国と地域の中で第6位となり、前年の5位から一歩後退する結果となったのです。この順位の低下は、単なる数字の変動ではありません。特に労働市場における柔軟性の欠如が、日本全体の評価を大きく引き下げる要因として指摘されています。
さらに深刻なのは、教育分野での評価です。この報告書では「批判的思考能力を養う教育」の項目で、日本は極めて低い評価に甘んじています。批判的思考(クリティカル・シンキング)とは、提示された情報を鵜呑みにせず、「なぜそうなるのか」「本質的な課題はどこか」を論理的に分析し、自らの頭で解決策を導き出す力のことです。この能力が不足していると判定されたことは、日本の将来にとって非常に大きな懸念材料と言えるでしょう。
アジアで突出する「自己研鑽」への意欲不足
人材サービス大手のパーソル総合研究所がアジア太平洋地域の14か国・地域を対象に行った「就業実態・成長意識調査」でも、ショッキングな現実が浮き彫りになりました。社外での学習や自己啓発について「特に何もしていない」と回答した日本人の割合は46.3%に達し、他国と比較して突出して高い数値を示しています。大学や大学院で学び直す人はわずか4.6%、勉強会を主宰する層も2.7%と、知的な刺激を求める動きは極めて限定的です。
オンラインで手軽に受講できるeラーニングや通信教育を利用している層も、わずか7.7%にとどまりました。これら全ての指標において日本は調査対象の14か国中で最下位という、不名誉な独走状態にあります。SNS上でもこの結果に対し、「仕事が忙しすぎて余裕がない」「会社が守ってくれるから危機感がないのでは」といった悲痛な声や、現状を危惧する意見が数多く投稿され、大きな波紋を広げているのが現状です。
なぜ、日本の社会人はこれほどまでに学ぼうとしないのでしょうか。その背景には、長年続いてきた「日本的雇用」の負の側面が色濃く反映されていると考えられます。終身雇用や年功序列といった制度によって雇用が過剰に守られ、自らをアップデートし続けなくても生き残れてしまう環境が、皮肉にも個人の危機感や思考力を奪ってしまったのではないでしょうか。私は、この「守られた環境」こそが成長の芽を摘む最大の障壁だと感じています。
激動するグローバル経済の中で、過去の成功体験に縋り続けるのはあまりにも危険です。教育現場での思考訓練の強化はもちろん、企業側も「ただ長く働くこと」ではなく「自ら学び、変化し続けること」を正当に評価する仕組みへと転換すべき時期に来ています。2019年11月19日というこの日を、私たちが「思考停止」から脱却するためのターニングポイントにしなければ、日本の活力は失われていく一方となるに違いありません。
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