世界的な自動車業界の変革期において、スパークプラグのトップメーカーとして知られる日本特殊陶業(NGKスパークプラグ)が、かつてない攻めの姿勢を見せています。2019年11月15日、同社の川合尊社長は、既存の内燃機関(エンジン)関連事業の縮小を冷徹に見据えた上で、次なる成長の種を積極的にまく方針を明らかにしました。
現在、同社が照準を合わせているのは「医療」「次世代自動車」「環境・エネルギー」という3つの巨大市場です。これらの分野で革新を起こすため、自社開発だけに頼らず、外部のスタートアップ企業への投資や連携を強化しています。2019年度中には各分野で具体的な道筋をつけ、数件のプロジェクトを事業化させるというスピード感は驚異的です。
SNS上では「あのプラグの日本特殊陶業が医療に?」という驚きの声とともに、「100年に1度の変革期に対する危機感が伝わる」といった経営判断を支持するコメントが多く見受けられます。単なる多角化ではなく、自社の強みである「セラミックス技術」を核にした合理的な戦略である点に、投資家やファンも熱い視線を送っているのでしょう。
「最後まで生き残る」世界シェアトップの誇りと覚悟
電気自動車(EV)の普及が進めば、エンジン車に不可欠な点火プラグの需要が減少するのは避けられません。しかし、川合社長の言葉には揺るぎない自信が漲っています。10年後もプラグ事業が収益の柱であることを断言しつつ、汎用品を整理して付加価値の高い高性能製品に特化することで、市場の支配力を維持する構えです。
ここでいう「内燃機関(ないねんきかん)」とは、ガソリンや軽油を燃焼させて動力を得るエンジンの総称です。競合他社が撤退を選んだとしても、同社は「ラストマン・スタンディング(最後まで勝ち残る者)」として市場を独占する戦略を描いています。この冷静な現状分析と情熱的な生存本能の同居こそ、名門企業の強さといえます。
編集部としては、同社の「投資の質」を変える決断に注目しています。研究開発費の総額を闇雲に増やすのではなく、既存事業から新規事業へと資金を適切にシフトさせる配分能力は、企業の寿命を左右する鍵となるはずです。伝統を守りつつも自らを破壊して再生する日本特殊陶業の挑戦は、日本企業の進むべき道を示しているのではないでしょうか。
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