日本の電機メーカー大手の三菱電機が、2020年3月下旬を目途に自社ブランドによる太陽光発電システムの製造・販売から撤退することを明らかにしました。1990年代から日本のエネルギーを支えてきたパイオニアの決断に、SNS上では「信頼の三菱ブランドがなくなるのは寂しい」「時代の転換点を感じる」といった惜しむ声が数多く寄せられています。
同社は2018年3月、すでに太陽光パネルの心臓部といえる「セル」の生産を停止していましたが、今回の決定でついにパネル本体や、電気を家庭で使える形に変換する「パワーコンディショナー」の生産も終了します。これは事実上、太陽光発電事業からの全面的な撤退を意味しており、業界内に大きな衝撃が走っているのは間違いありません。
「作る」から「賢く使う」へ!三菱電機が描く新たな勝機
しかし、この撤退は決して後ろ向きな理由だけではありません。三菱電機は今後、自社の強みを最大限に活かせる「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」や「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」という分野に経営資源を集中させる方針です。これらは、断熱性能を高めたり省エネ設備を導入したりすることで、年間のエネルギー消費量を実質ゼロにすることを目指す先進的な住宅や建物を指します。
太陽光発電のデバイスそのものを作る競争からは退きますが、ビルや住宅全体のエネルギーを高度に制御・管理するシステムこそが、これからの主戦場になると判断したのでしょう。単なる機器メーカーとしてではなく、スマートな暮らしを支えるソリューション提供者へと進化を遂げようとする、同社の非常に合理的で攻めの姿勢を感じる戦略だと私は評価しています。
なお、今後ZEHなどの提案で太陽光発電が必要になる場合には、品質の高さに定評がある京セラとパートナーシップを組み、同社製品を紹介していく体制を整えるとのことです。自前主義にこだわらず、最適なプレイヤーと手を組むことで顧客満足度を維持する狙いが見て取れます。2019年11月20日の発表を受け、市場がどう反応していくのか、今後のスマートシティ展開に注目が集まります。
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