2019年10月02日現在、日本の住まい方に大きな変革の波が押し寄せています。政府が掲げるエネルギー基本計画では、2030年までに再生可能エネルギーの割合を22~24%まで引き上げるという野心的な目標を据えました。その鍵を握るのが、使うエネルギーを自ら創り出すことで実質的な消費量をゼロにする「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」という次世代型の住宅スタイルです。
ZEHとは、高度な断熱性能で熱を逃がさず、効率的な設備で省エネを徹底した上で、太陽光発電などによってエネルギーを創出する仕組みを指します。SNS上では「将来の光熱費を考えたら絶対にお得」「環境に優しい暮らしをしたい」と期待を寄せる声が目立つ一方で、マンション特有の難しさを懸念する意見も散見されます。一戸建てに比べて屋根の面積が限られる集合住宅において、この「エネルギー自給」をどう実現するかが焦点です。
コストの壁と補助金依存からの脱却
普及に向けた最大のハードルは、やはり建築コストの増大でしょう。ZEH仕様のマンションは、高性能な断熱材や特殊なサッシを採用するため、通常の物件と比較して工事費が1割ほど高騰する傾向にあります。現在は政府の補助金によってその差額を補填しているのが実情ですが、この支援制度がいつまで継続されるかは不透明です。持続可能な普及のためには、補助金に頼らずとも経済的に見合うビジネスモデルの構築が急務と言えます。
また、2020年までに戸建住宅の過半数でZEHを導入するという目標がある一方で、都心部に多い高層マンションへの対応は容易ではありません。高層階になるほど風圧や施工の制約が増えるため、コストを抑えつつも創エネ効果を最大化する高度な技術革新が求められます。しかし、私はこの技術的な壁こそが、日本の建設業界が世界をリードする新たなチャンスになると確信しています。
世界に目を向ければ、欧州連合(EU)は2020年までに全ての新築住宅をZEH化する方針を打ち出し、米国の一部でも法整備が進むなど、省エネ化の潮流は止まりません。日本は土地が狭く発電用地の確保に苦労していますが、マンション自体が「発電所」となれば、都市部でのエネルギー地産地消が現実味を帯びてきます。2019年10月02日の今日、私たちは未来の都市像を再定義する分岐点に立っているのではないでしょうか。
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