日本のエネルギー政策が、再生可能エネルギーの真の普及に向けて大きな舵を切ろうとしています。経済産業省は2019年11月18日、太陽光発電の固定価格買い取り制度、通称「FIT」に関する画期的な見直し案を公表しました。これまで認定を受けながらも発電を開始していない事業者に対し、一定期間を過ぎるとその権利を自動的に失効させるという、非常に踏み込んだ内容となっています。
この「FIT」という言葉に馴染みがない方もいるかもしれませんが、これは再生可能エネルギーで発電された電力を、大手電力会社が国が決めた価格で買い取ることを約束する制度です。2012年に導入されて以来、日本の自然エネルギー活用を支える柱となってきました。しかし、この制度が持つ本来の目的を阻害する「未稼働案件」という深刻な問題が浮き彫りになっているのです。
現在、認定を受けた太陽光発電の規模は2019年6月時点で約6500万キロワットに達していますが、なんとそのうちの4割にあたる約2700万キロワットが稼働していない現状があります。一部の事業者が、将来的なパネル価格の下落による利益率の向上や、認定された権利そのものの転売を目的に、送電線の利用枠をいわば「予約状態」で独占してしまっているわけです。
送電網の「渋滞」を解消し、新規参入の道を開く
送電線、つまり電気が通る道には、流せる容量に限界があります。動いていない事業者がこの枠を占有し続けることは、本当に発電を始めようとする誠実な新規参入組を締め出すことと同義です。SNS上でも「これではまるで場所取りだけして現れない予約客のようだ」という声が上がっており、多くの国民がこの制度の不公平感に疑問の視線を送っていました。
今回の見直し案では、一定の猶予期間を設けた上で、稼働に至らない場合は認定を失効させ、送電枠を解放することを目指しています。これは環境先進国である欧州諸国の事例を参考にしたものです。例えばドイツでは、売電枠を確保してから24ヶ月以内に稼働させなければ権利を失う仕組みが機能しており、日本もようやく世界基準の厳格な運用へと踏み出す形になります。
個人的な見解を申し上げれば、この改革は遅すぎた感があるものの、日本のエネルギー自給率向上には不可欠な一歩だと考えます。電力を営利目的の金融商品のように扱うのではなく、社会を支える公共のインフラとして捉え直すべきでしょう。もちろん、地形の問題や手続きの遅延など、事業者の責任によらないケースも存在するため、一律の切り捨てではなく柔軟な判断も求められます。
政府は2020年の通常国会に関連法の改正案を提出する予定です。この法改正が実現すれば、眠っていた送電枠が解放され、志のある新しいクリーンエネルギー事業者が次々と参入できる環境が整うことでしょう。私たちの生活を支える電気が、より持続可能で透明性の高い仕組みから生まれる未来に、大きな期待が寄せられていることは間違いありません。
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