歴代最長の安倍政権はどこへ向かう?株価と雇用で読み解く「安定の正体」と次なる課題

2019年11月20日、安倍晋三首相の通算在任期間が2887日に達し、日本の憲政史上において歴代最長という金字塔を打ち立てました。政権運営における「緩み」を懸念する声も一部では上がっていますが、依然として世論の支持は底堅く、安定した基盤を維持しています。この驚異的な持続力の背景には、一体どのような要因が隠されているのでしょうか。

かつてアメリカの大統領選で掲げられた「経済なんだよ、問題は!」という有名な標語があります。これは、有権者が最も関心を寄せるのは自分たちの暮らしを左右する経済状況であるという真理を突いた言葉です。経済学の権威であるマンキュー教授も紹介したこの考え方こそ、現在の安倍政権を支える最大のエンジンとなっていることは間違いありません。

具体的な数字を振り返ると、その変化は一目瞭然です。民主党政権の幕引きとなった2012年12月には9500円前後だった日経平均株価は、わずか1年で1万6000円を突破しました。2019年12月12日現在の市場では2万3000円台を維持しており、株価の推移という側面からは、経済への信頼感が着実に積み上がってきたことが見て取れます。

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戦後最長を記録した景気拡大とその実績

経済指標を詳細に分析すると、財政面を除けば非常に順調な推移を辿っています。2012年12月から始まった景気拡大の波は、2019年1月には74カ月という戦後最長記録を更新しました。実質GDP(国内総生産)の成長率は年率換算で1.1%程度と決して高くはありませんが、この緩やかで安定した成長こそが、社会に安心感を与えてきたのです。

GDPとは、一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額を指し、国の経済規模を測る最もポピュラーな物差しです。また、雇用情勢に目を向ければ、失業率はかつての高度経済成長期に迫るほどの低い水準まで改善されました。SNS上でも「仕事が見つかりやすくなった」「株価上昇の恩恵を感じる」といった、現状の安定を肯定的に捉える投稿が散見されます。

しかし、足元では景気の拡大基調に陰りが見え始めていることも事実です。それでも、自民党が掲げる自由主義的な方針に対し、野党が目指す「大きな政府」は、財政再建が急務な日本において実現性が乏しいと多くの国民が直感しています。大きな政府とは、政府が積極的に市場に介入し、社会保障などを手厚くする仕組みですが、今の日本にはそのための財源が極めて乏しいのが現実です。

真の長期政権に求められる「未来へのビジョン」

歴史を紐解けば、吉田茂内閣の安保体制や中曽根康弘内閣の行政改革など、偉大な長期政権には必ず時代を象徴するビジョンがありました。安倍首相が情熱を注ぐ憲法改正も重要ですが、国民が真に求めているのは「将来の生活をどう守るか」という切実な問いへの答えではないでしょうか。少子高齢化が進む中で、社会保障の抜本的な改革は避けて通れません。

私は、政権が長続きすること自体が目的になってはいけないと考えます。温暖化による激甚災害への対策など、次世代のために今何をすべきかという「覚悟」が問われているのです。安定した支持を背景に、耳の痛い改革にも踏み込む構想力があるかどうかが、最長政権の真の価値を決めるでしょう。2019年12月12日、私たちは今、政権の真価を問う重要な分岐点に立っています。

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