2019年12月14日現在、日本の労働市場で驚くべき地殻変動が起きています。人材サービス産業協議会が前日に発表した最新データによると、物流ドライバーや介護職といった、いわゆる「社会のインフラ」を支える職種の求人賃金において、地域間の格差が劇的に縮まっていることが判明しました。これまで「高給を狙うなら東京」という認識が一般的でしたが、今や東海や近畿エリアが首都圏を凌駕するケースも珍しくなくなっているのです。
特に注目すべきは介護職の動向でしょう。老人ホームや訪問介護といった現場を支える方々の募集時年収において、その最高額は首都圏で339万円から500万円という分布でした。これに対し、東海エリアは404万円から570万円、近畿エリアにいたっては357万円から581万円と、首都圏を大幅に上回る好条件が提示されています。大手介護企業が全国規模で人材獲得競争を繰り広げていることが、地方の相場を力強く押し上げる要因となっているようです。
2018年からの変動率を分析すると、首都圏の最高額が横ばいである一方、東海は25.3%、近畿は16.2%という驚異的な伸びを見せています。ネット上のSNSでも「地元で働いた方がコスパが良いのでは?」「介護の仕事に対する正当な評価が進んでいる」といった前向きな反応が目立ちます。また、定年退職後のセカンドキャリアとしてこの業界に飛び込むシニア層も増加しており、年齢を問わず活躍できる土壌が着実に整いつつあると言えるでしょう。
今回の調査で新たに加わった宅配ドライバーも、地域差の解消が顕著です。首都圏の最高年収550万円に対し、東海も550万円、近畿は560万円と、もはや場所による優劣は存在しません。長距離ドライバーも同様に高水準を維持しており、EC市場の拡大に伴う「運び手」の価値が、日本全国で極めて高く評価されています。かつては給与面の不安から地方への転職を躊躇する層も多かったはずですが、今の状況はこの懸念を払拭する追い風となるはずです。
ITエンジニアの激戦と、これからのキャリア戦略
一方で、首都圏独自の動きとして「RPA」関連職種の躍進も見逃せません。RPAとは、これまで人間が行ってきた定型的な事務作業をソフトウェアロボットに代行させる自動化技術を指します。この分野の専門職では最高年収が1000万円から1200万円に達しており、最新技術を使いこなす人材への投資は惜しまないという企業の姿勢が鮮明です。ITエンジニア全般で見ても、依然として1000万円の大台を超える熾烈な獲得競争が続いています。
編集者の視点から言えば、この「賃金のフラット化」は日本の働き方に多様性をもたらす素晴らしい好機だと感じます。生活コストの低い地方で、都市部と同等の、あるいはそれ以上の収入を得ることは、生活の質を劇的に向上させるでしょう。管理職クラスでは地方でも1000万円超えの求人が珍しくなく、40代から50代のベテラン層が培った経験を地方で還元する流れは、日本経済の活性化において極めて重要な鍵を握ることになりそうです。
今回の調査は、2019年4月から8月にかけて扱われた求人情報を精査したもので、上位15%の最高年収額を抽出しています。データサイエンティストが1300万円、製造現場の管理職が1100万円といった数字を見ると、専門スキルさえあれば、場所を選ばずにキャリアを築ける時代が到来したと確信せざるを得ません。自分自身の市場価値をどこで発揮するのが最善か、改めて地図を広げて考えるべきタイミングが来ているのではないでしょうか。
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