米中摩擦の逆風?九州・沖縄の景況感が6年半ぶりマイナスへ、製造業を襲う設備投資停滞の真相

日本銀行福岡支店が2019年12月13日に公表した「企業短期経済観測調査(短観)」の結果は、九州・沖縄経済の転換点を示唆するものとなりました。特に製造業の業況判断指数(DI)が、2013年以来となる6年半ぶりのマイナス圏へ転落した事実は、地域経済に衝撃を与えています。SNS上でも「ついに地方にも貿易摩擦の波が来たか」「自動車関連が厳しいのは意外だ」といった不安の声が広がっています。

ここで注目すべき「DI(業況判断指数)」とは、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた数値です。今回の調査では全産業でプラス9を維持したものの、前回比で4ポイント低下しました。これは2016年04月14日に発生した熊本地震直後の水準にまで落ち込んでおり、長らく続いた緩やかな拡大基調に黄色信号が灯った形と言えるでしょう。

製造業の足を引っ張ったのは、これまで九州経済を力強く牽引してきた自動車などの輸送用機械です。トヨタ自動車九州が2019年度上期に過去最高の生産実績を叩き出した一方で、業界全体のDIは19ポイントも急降下しました。世界的な経済の減速感が、地方の優良企業のマインドをも冷え込ませている現状が浮き彫りになっています。

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米中貿易摩擦の深層、機械商社が見据える「春節」後のシナリオ

九州の主力産業である「はん用機械」や「電気機械」も、厳しい戦いを強いられています。米中貿易摩擦の影響は深刻で、中国市場でのスマートフォン向け設備投資や、組み立てロボットへの需要が目に見えて弱まりました。ある総合機械商社では、産業機器事業の利益が前年同期比で半分にまで激減するなど、実体経済へのダメージは想像以上に深刻化しているようです。

安川電機の小笠原社長は、設備投資の現状について「底を這っている状態」と表現しています。本来であれば2019年の秋口から回復の兆しが見えるはずでしたが、中国経済の動きが鈍く、期待通りの反転には至りませんでした。多くの企業経営者は、米国による制裁関税の緩和を見守りつつ、中国企業が予算を固める2020年の春節明けの動向を固唾を飲んで注視しています。

編集者の視点から見れば、今回の景況感悪化は単なる一時的な不況ではなく、グローバルサプライチェーンの脆さが露呈した結果だと感じます。九州が「カーアイランド」「シリコンアイランド」として発展してきたからこそ、世界の政情不安がダイレクトに地域を揺さぶるのです。今後は中国一本足打法からの脱却や、内需を支える新たな産業構造の構築が、これまで以上に急務となるでしょう。

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