西日本旅客鉄道(JR西日本)の新たな舵取り役として、長谷川一明氏が2019年12月01日付で社長に就任いたしました。就任翌日となる2019年12月02日、長谷川氏は幹部への訓示と記者会見の場に立ち、鉄道という巨大インフラを支える覚悟を力強く語っています。
その言葉の端々からは、グループ全体の成長を語る前に、まずは「鉄道の安全」がすべての根幹であるという揺るぎない信念が伝わってきました。SNS上でも、過去の重大な経験を持つリーダーの登板に「安全への意識が変わることを期待したい」といった熱い視線が注がれています。
長谷川氏が安全に対して並々ならぬ思いを抱く背景には、2005年04月25日に発生したJR福知山線脱線事故があります。当時、神戸支社の次長という要職にあった氏は、被害に遭われた方々への対応という、組織として最も誠実さが問われる最前線で職務にあたってきました。
事故の悲劇を肌で感じ、遺族や負傷者の方々と向き合い続けた日々こそが、長谷川氏の経営哲学における「原点」と言えるでしょう。前任の来島達夫氏から2019年10月上旬に後継の打診を受けた際も、その職責の重さに自問自答を繰り返した末に、今回の就任を決断したそうです。
非運輸業での手腕と「キレと繊細さ」が織りなす未来図
前社長が「キレと繊細さを兼ね備えている」と評する通り、長谷川氏は2016年から副社長として、鉄道以外の「非運輸業」を牽引してきました。これは駅ビルやホテル、不動産など、列車の運行以外で収益を上げるビジネスモデルを指す、近年の鉄道経営における重要用語です。
具体的な実績としては、新ブランドホテル「ポテル」や「ヴィスキオ」の積極的な展開、さらには三菱重工業の不動産子会社買収による事業拡大を主導しました。こうした大胆な「キレ」のある戦略は、人口減少社会における鉄道会社の新たな生存戦略として高く評価されています。
しかし、現在のJR西日本を取り巻く環境は、訪日外国人客の増加という追い風ばかりではありません。現場での不祥事が相次ぎ、社員の安全意識が厳しく問われる局面も続いています。ここで必要とされるのが、細部まで目を行き届かせる「繊細さ」を持ったマネジメントでしょう。
「相互理解」や「敬意と共感」という言葉を大切にする長谷川氏は、組織の末端まで安全の意識を浸透させる適任者だと考えられます。釣りという趣味で培った忍耐力と、経営者としての冷徹な分析力が融合することで、より強固な企業体へと進化を遂げるに違いありません。
個人的な意見として、大きな痛みを共有するトップが誕生したことは、組織文化を再構築する絶好の機会だと確信しています。安全を追求する繊細な守りと、非運輸業で稼ぐキレのある攻め。この両輪が揃って初めて、私たちは心から安心して旅を楽しめる時代を迎えられるはずです。
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