2019年12月30日、自動車産業はまさに「第3の大再編期」という荒波の真っ只中に立たされています。これまで業界を支えてきたのは、エンジンの馬力やボディの堅牢性といった「ハードウェア」の力でした。しかし今、その常識は「CASE」と呼ばれる次世代技術によって、根本から覆されようとしています。SNSでも「車はもはや走るスマートフォンだ」という声が上がるほど、変化のスピードは私たちの想像を超えているのです。
ここで改めて解説しておくと、CASEとは「接続性(Connected)」「自動運転(Autonomous)」「共有(Shared)」「電動化(Electric)」の頭文字を並べた専門用語です。これらの技術を開発するには天文学的な研究費用が必要となります。加えて、米国のIT巨人が強力なライバルとして参入してきた今、どんな巨大企業であっても単独で戦い抜くことは極めて困難な状況に陥っているといえるでしょう。
世界を揺るがす巨大連合の誕生
世界各地では、かつてのライバル同士が手を取り合う驚きの光景が相次いでいます。2019年1月には、世界首位を争う独フォルクスワーゲンが米フォード・モーターとの包括提携を発表しました。フォードのトップが「高額な開発費が協力の動機だ」と率直に語った通り、次世代車開発の負担はそれほどまでに重いのです。このニュースに対し、ネット上では「あのフォードが組まざるを得ないのか」と、業界の危機感の深さに驚く声が溢れました。
さらに2019年12月には、欧米のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏グループPSAが経営統合に合意するというビッグニュースが飛び込んできました。これにより世界第4位の自動車連合が誕生することになります。FCAはわずか数ヶ月前に他社との交渉が破談になったばかりでしたが、なりふり構わずパートナーを求める姿勢からは、「今ここで組まなければ生き残れない」という強烈な焦燥感が伝わってきます。
日本市場も「3大陣営」へ集約
日本国内も無風ではありません。トヨタ自動車は2019年8月にスズキとの相互出資を決め、さらに2019年9月にはSUBARUへの出資比率を引き上げてグループ化を強固にしました。この「トヨタ連合」の規模は世界最大級となり、日産・三菱・ルノーの3社連合やホンダといった勢力とともに、国内メーカーは大きく3つの陣営に整理されつつあります。もはや「自前主義」で全てを完結させる時代は、完全に終わりを告げたのです。
私は、この再編こそが日本の製造業が「ITサービス業」へと進化するためのラストチャンスだと考えています。車がネットに繋がり、ソフトウェアで制御される未来では、部品メーカーの統廃合も避けられません。実際に2019年10月には日立系とホンダ系の部品4社が統合を発表するなど、足元から地殻変動が起きています。2020年に向けて、私たちの「移動」の定義は、これまでとは全く異なるものへとアップデートされていくに違いありません。
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