出入国管理施設において、国外退去処分を受けた外国人が食事を拒む「ハンガーストライキ(ハンスト)」を敢行する事態が相次いでいます。この背景には、本国への強制送還を拒むことによる収容期間の長期化が存在しているのです。彼らの多くは、体調不良を理由に一時的に身柄拘束を解かれる「仮放免」を勝ち取るために、自らの命を危険に晒しています。SNS上では「人権侵害ではないか」という懸念の声が上がる一方で、「治安維持のために厳格な対応が必要だ」という意見もあり、議論が紛糾しています。
実例として、茨城県牛久市の施設に滞在する41歳のイラン人男性は、水だけで2週間を過ごし、体重が10キログラムも減少した状態で車いすに乗って面会に現れました。彼は過去に国内で実刑判決を受け、退去命令後に入管へ移されましたが、本国での宗教的迫害を理由に難民申請を行い、収容は通算4年に及んでいます。このように「劣悪な環境に耐えられない」と限界を訴える声は切実です。専門用語である「難民申請」とは、自国で迫害を受ける恐れがあるため他国に保護を求める手続きのことです。
全国の施設で抗議行動は激化しており、2019年6月には長崎県の施設でナイジェリア人男性が餓死するという、国内初の悲劇的な事態まで発生しました。出入国在留管理庁の調査によると、2019年7月21日時点でのハンスト実施者は106人に達し、同年6月1日時点の7人と比較して15倍以上に急増しています。長年ボランティアとして収容者を支える女性も、彼らの精神的な不安定さが過去最悪のレベルに達していると危惧を隠せません。命を懸けた抵抗の凄まじさが窺えます。
仮放免制度の在り方と治安維持を巡る葛藤
収容者が目指す仮放免とは、病気などのやむを得ない事情がある場合に、保証人や行動制限を条件として一時的に外出を許可する仕組みです。しかし、健康状態の回復後は再び施設に戻されるケースがほとんどであり、それでも「一瞬でも自由になりたい」と願うほど追い詰められているのが現状と言えます。全国17の施設における収容者は2019年6月末時点で1253人。そのうち半年を超える長期収容者は679人と、2014年末の2.3倍に膨れ上がっており、事態の深刻さを物語っています。
一方で、当局が慎重姿勢を崩さない背景には、仮放免中の逃亡や犯罪が後を絶たないという冷徹な現実があります。入管庁によれば、送還を拒む人の約4割に前科があり、2018年1月から2019年6月までに109人の仮放免者が刑事事件で逮捕されました。さらに逃亡による手配件数も2019年6月末時点で332件と、2014年末の3.4倍に急増したため、審査の厳格化が進められています。人道的な観点からの救済と、日本社会の安全を守る治安維持のバランスをどう取るかは非常に困難な問題です。
入管庁はカウンセリングなどの精神的ケアを行うとともに、有識者会議を設置して2019年度内を目処に改善策の提言を受ける予定です。国際法の専門家は、治安の観点から安易な釈放はできないとしつつも、日本の長期収容が国際的な批判の対象になっている点を指摘し、人道的な配慮を求めています。在留外国人が増加の一途を辿る中、この見えざる長期収容者の処遇問題は、私たちが直面している新たな社会的試練であり、真摯に向き合うべきだと確信しています。
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