日本製鉄が過去最大の赤字へ、呉製鉄所閉鎖の衝撃とこれからの鉄鋼業界が迎える大転換期

日本のものづくりを支え続けてきた巨大産業に、今まさに激震が走っています。日本最大の鉄鋼メーカーである日本製鉄は、2020年02月07日に東京都内で記者会見を開き、今後の経営を左右する衝撃的な発表を行いました。同社の財務を担当する宮本勝弘副社長と、経営企画を担う右田彰雄副社長の口から語られたのは、2020年03月期の連結最終損益が4400億円という過去最大の赤字に転落する見通しです。

この巨額赤字の背景には、鉄の原材料となる鉄鉱石などの価格が高止まりしている一方で、海外における鋼材価格が下落しているという厳しい二重苦があります。さらに、自動車メーカーなどの大口顧客と直接交渉して決める「ひも付き価格」と呼ばれる特別な取引価格の改善が、思うように進まなかったことも大きな要因でしょう。利益を生み出しにくい構造から脱却できなかったことが、今回の数字に表れた格好です。

SNS上でもこのニュースは瞬く間に拡散され、多くのビジネスパーソンや地元住民の間で大きな動揺が広がっています。「地元の雇用はどうなるのか」「日本の鉄鋼業がここまで追い詰められているとは」といった不安の声が続出しました。また、「世界的な競争の厳しさがリアルに伝わってくる」と、時代の変化を痛感するコメントも多く見られ、事態の深刻さが日本中に波及している様子がうかがえます。

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呉製鉄所閉鎖という決断と生き残りをかけた生産再編のリアル

今回の発表で最も世間を驚かせたのは、広島県にある呉製鉄所の閉鎖をはじめとする、高炉の休止を含んだ大規模な構造改革でしょう。高炉とは、鉄鉱石を熱してドロドロに溶かし、鉄の製品を作るための心臓部とも言える巨大な炉のことです。日本製鉄はこの高炉を含む設備を大胆に集約し、将来的にも呉製鉄所を再稼働させる予定はないと明言しました。まさに退路を断った、極めて重い決断であると考えられます。

長年稼働してきた主力の製鉄所は、いたる所で設備の老朽化が進んでおり、維持するためには大規模な改修工事が欠かせません。しかし、すべての設備に巨額の投資を続けることは不可能であると、経営陣は冷徹に判断したのでしょう。今後はコスト競争力の高い強固な拠点へと生産を集中させることで、無駄な固定費を削り、約1000億円もの収益改善を目指す方針が示されました。

ここで気になるのが、現場で働く従業員のみなさんの行方ですが、会社側は雇用の維持を最優先に掲げています。基本的にはグループ内にある別の製鉄所への配置転換によって対応する予定だそうですが、住み慣れた土地を離れる決断を迫られる方々の心中を察すると、一筋縄ではいかない課題が山積みです。企業が生き残るためのドラスティックな改革には、痛みが伴うものであると実感せざるを得ません。

圧倒的な中国企業の脅威とこれからの日本のものづくりへの提言

なぜ、これほどまでに過酷なリストラを進めなければならないのでしょうか。その理由は、中長期的に日本の人口が減り、国内の鉄鋼市場が縮小していくという冷酷な未来予測があるからです。さらにそれ以上に恐ろしいのが、隣国である中国の鉄鋼メーカーが持つ、すさまじいまでの超過剰な生産能力に他なりません。これまでは中国国内の建設ラッシュなどで消費されていましたが、その勢いが止まった時が本当の恐怖です。

もし中国国内で余った大量の鋼材が世界の市場へ一気に流れ込んでくれば、価格競争はさらに激化するでしょう。経営陣が「過去とは比べものにならないほど、中国企業の存在感は圧倒的だ」と語る通り、世界市場のルールそのものが塗り替えられつつあります。激変する国際環境を見据えたとき、現在の日本製鉄の生産規模は大きすぎて身動きが取れなくなってしまうリスクを孕んでいるのです。

編集部としては、今回の日本製鉄の決断は単なる一企業の赤字ニュースではなく、日本の製造業全体に対する警告の鐘であると捉えています。安さや規模で勝る海外勢に対抗するためには、これまでの成功体験を捨て、真に強い部分だけを残すスリム化が不可欠でしょう。今回の苦渋の決断が、同社が再び世界のトップランナーとして輝きを取り戻すための、価値ある転換点となることを切に願います。

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