日本製鉄が呉製鉄所の高炉休止へ!世界的な鉄鋼過剰と国内リストラがもたらす衝撃の未来

日本のものづくりを支えてきた基幹産業に、かつてない激震が走っています。国内鉄鋼最大手である日本製鉄が、広島県呉市にある呉製鉄所の高炉2基を休止する方針を固めました。この決定は国内の生産能力を約1割も削減することを意味しており、将来的には鋼板製造ラインを含む製鉄所全体の全面閉鎖まで視野に入れているというから驚きです。SNS上でも「地元の雇用はどうなるのか」「日本の製造業の衰退を感じて悲しい」といった、将来への不安や衝撃を隠せない声が次々と上がっています。

今回休止が取り沙汰されている「高炉」とは、鉄鉱石を高温で溶かして鉄の元となる液体(銑鉄)を取り出す、製鉄所にとっての心臓部にあたる巨大な炉のことです。日鉄は当初、呉製鉄所の高炉を1基残して能力を増強する計画を立てていましたが、一転して2基とも休止する厳しい決断を下しました。さらに2021年3月31日には北九州市の高炉1基の休止も決定しています。グループ全体の国内生産能力は、現在の5400万トン規模から一気に縮小する見通しです。

なぜ、これほどドラスティックな削減に踏み切らなければならないのでしょうか。その背景には、世界規模で巻き起こっている深刻な「鉄余り」の構造問題が存在します。世界鉄鋼協会の発表によると、2019年の世界粗鋼生産量は18億6990万トンに達しました。しかし経済協力開発機構(OECD)の推計では、2018年時点で世界の鉄鋼生産能力はこれを約4億トンも上回っています。これは実に、日本の年間生産量の4倍にあたる過剰な設備を世界が抱えている計算になるのです。

さらに鉄鋼業界を苦しめるのが、国際的な政治・経済の荒波です。アメリカが鋼材への輸入関税を引き上げたことで、行き場を失った製品がアジアやヨーロッパに流入して市場が飽和しました。その一方で、世界最大の生産国である中国は政府の景気刺激策を背景に、過去最高ペースで大増産を続けています。原料となる鉄鉱石の価格が高止まりするなか、製品の販売価格だけが下落するという、まさに「二重苦」の状況が日本の輸出競争力を激しく削いでいるのです。

私は今回のリストラについて、単なる一企業の合理化にとどまらない、日本の産業構造の転換点であると捉えています。呉製鉄所では自動車用の高機能鋼板などを製造していますが、規模の小ささゆえに淘汰の波に飲まれる形となりました。もし全面閉鎖となれば、約1000人の従業員の配置転換だけでなく、協力会社を含めた3000人以上の雇用や地域経済に計り知れないダメージを与えます。伝統を守るだけでなく、激変する世界市場に適合するための痛みを伴う変革が今、求められているでしょう。

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