私たちの買い物スタイルが劇的に変化する中で、街で見かける衣料品店や家電量販店などの「専門店」が、インターネット通販の収益化という高い壁にぶつかっています。日本経済新聞社が実施した2018年度の「専門店調査」によれば、ネット通販事業で「利益が出た」と回答した企業は44.8%に留まりました。前年度の調査と比較すると10ポイント以上も下落しており、市場の拡大とは裏腹に、利益を出すことの難しさが浮き彫りになっています。
実店舗を含めた業界全体の業績に目を向けると、総売上高は26兆6467億円、営業利益は1兆352億円と、4年連続での増収増益を記録しました。しかし、成長の牽引役であるはずのネット通販においては、専門的な知識を持つ「IT人材」の不足が深刻な影を落としています。独自のこだわりを持つ専門店は、本来ならネットとの相性が良いはずですが、テクノロジーを駆使する新興のIT企業に一歩出遅れているのが実情でしょう。
しまむらのゾゾタウン撤退が示す「実店舗とネット」の埋めがたい溝
SNSでも大きな話題となったのが、衣料品大手のしまむらによる動きです。同社は2018年07月に「ゾゾタウン」へ出店し、ネット販売の強化を図りましたが、わずか1年足らずの2019年06月に撤退を決断しました。店舗での売れ筋商品や客層が、ネットの世界では通用しなかったことが主な理由とされています。この事例は、長年培ってきた「店舗中心のビジネスモデル」をデジタルへ転換させる難しさを象徴しているのではないでしょうか。
今回の調査対象となった企業のうち、ネット通販の売上比率が全体の10%に満たない企業は7割を超えています。さらに、3年後の未来予測においても、半数の企業が「10%未満に留まる」と回答しており、弱気な姿勢が目立ちます。ネット通販は単にサイトを作るだけでなく、物流の効率化や高度なマーケティングが不可欠です。これらを支える専門スタッフが確保できない現状では、厳しい戦いが続くことが予想されます。
ディスカウントストアの躍進と深刻化する労働力不足のジレンマ
一方で、消費者の低価格志向を追い風に、総合ディスカウントストアやドラッグストアは力強い成長を見せています。特にドン・キホーテは11.7%増という驚異的な伸びを記録しました。しかし、こうした好調な企業の足を引っ張っているのが「人手不足」の問題です。必要な人材を確保できなかったと答えた企業は47.6%に達し、2019年度も引き続き約半数の企業が「人が足りない」状況に陥ると見込んでいます。
私自身の見解としては、専門店が生き残るためには、単なる価格競争から脱却し、ITを「コスト」ではなく「投資」と捉えるマインドセットの転換が必要だと感じます。デジタルに精通した人材を外部から招き、店舗とネットを融合させる「オムニチャネル化」を急がなければ、IT企業に顧客を奪われ続けるでしょう。2019年07月10日現在のデータが示す通り、小売業界は今、まさに構造改革の正念場を迎えているのです。
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