老舗電機メーカーの船井電機が、主力のテレビ事業において新たな一手に出ました。2019年6月3日、同社はNTTぷららと業務提携を結んだことを発表し、長らく続いた「安売り競争」からの脱却を目指す戦略を鮮明にしています。船井電機は2019年3月期決算で8期ぶりの営業黒字化を達成しており、これは不採算事業の整理といったコスト削減努力が実を結んだ結果と言えるでしょう。
しかし、次のステップは黒字定着と成長事業の育成です。船井電機の連結売上高の約8割を占めるテレビ事業は、かねてより中国や韓国のメーカーとの熾烈な価格競争に巻き込まれ、長期間にわたり赤字が続いてきました。新社長である船越秀明氏が2017年に就任して以来、止血、すなわち赤字からの脱却は成功したものの、今後の持続的な成長のためには、製品に付加価値を加え、再成長の道筋を立てることが急務となっています。
そこで注目されるのが、今回のNTTぷららとの提携です。NTTぷららは動画配信サービスである「ひかりTV」を主力事業として展開しており、映像コンテンツの配信やユーザー体験に関するノウハウを豊富に持っています。この知見を活かし、船井電機は画期的なコードレスのテレビ開発を検討するなど、従来のテレビの枠を超えた新しい価値の創出を目指す方針です。
私の意見としては、これは船井電機にとって非常に賢明かつ重要な戦略だと評価しています。ただ安価な製品を大量に提供するだけでは、人件費や製造コストで優位に立つ中韓勢には太刀打ちできません。NTTぷららという強力なコンテンツ・サービスのパートナーを得ることで、ハードウェアとしてのテレビ本体の価値だけでなく、「体験価値」を高めることができるのです。テレビをただの映像表示機器から、生活空間に溶け込むスマートなデバイスへと進化させる可能性を秘めています。
また、船井電機はテレビ事業以外でも、小型の電気自動車(EV)を開発するFOMM(フォム)と資本業務提携を結び、共同開発を進めるなど、事業の多角化にも意欲的です。テレビ事業で培った映像技術や製造ノウハウという強みを武器に、異業種との連携を強化して新たな市場を開拓しようとする姿勢は、長年苦しんできた老舗メーカーの変革を感じさせます。
このニュースに対するSNSでの反響も大きく、「船井電機が復活するかも」「コードレスTVは魅力的すぎる、実現したらぜひ欲しい」といった、期待を込めたコメントが多く見受けられました。かつてのテレビの安売りイメージを払拭し、高付加価値な製品でブランドイメージを刷新できるかどうかに、市場の大きな関心が集まっていると言えるでしょう。
船井電機の新たな挑戦は始まったばかりです。NTTぷららとの協業から、どのような革新的な製品やサービスが生まれてくるのか、今後の事業展開から目が離せません。
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