関西国際空港など3つの主要空港を運営する関西エアポート株式会社が、2019年6月4日に発表した2019年3月期の連結決算は、純利益が前期比5パーセント増の296億円という好結果を達成しました。この背景には、昨年9月に発生した大型台風の影響で関西国際空港が一時的に機能停止に追い込まれるという**「試練」に直面しながらも、増加し続ける訪日外国人旅行者の需要をしっかりと捉え、拡大路線を維持した経営努力があったと評価できるでしょう。
山谷佳之社長は、同日開催された記者会見で「台風という試練に直面したが、決算は良い成績をあげられた」と安堵の表情を見せています。売上高にあたる営業収益は、前期比7パーセント増の2,204億円に達しました。台風による収益の押し下げ効果は82億円と試算されていますが、本業での着実な成長に加え、神戸空港の収益が加算されたことでこれを十分に補い、災害に伴う保険金収入も得られたため、純利益への影響も最小限に抑えられました。
この増収を力強く牽引したのは、空港運営における中核をなす非航空系事業**、すなわち物販や飲食、免税店といったサービス分野です。同部門の営業収益は9パーセントもの大幅な増加を記録しています。特に、高級ブランド店などを展開する免税事業が好調で、旺盛な購買意欲を持つ中国人旅行者が直営免税店の国籍別売上高の7割強を占めるなど、その貢献度の高さが際立っています。
一方、航空系事業の増収は3パーセントでした。しかし、関西国際、大阪国際(伊丹)、神戸の3空港を合わせた旅客数は、前期比3パーセント増の4,890万人という過去最高を記録しています。関西国際空港では、特に中国や東南アジア方面の国際線利用が好調を維持し、伊丹空港や神戸空港も国内線の利用者数を伸ばしており、航空ネットワークの成長も着実に進んでいると言えるでしょう。
しかしながら、2018年9月の台風による大混乱は、同社にとって極めて重い教訓となりました。この経験を踏まえ、安全確保への取り組みは**「待ったなし」の最重要課題と位置付けられています。具体的には、総額541億円を投じた護岸のかさ上げや、浸水リスクを低減するための電気設備を地上へ移設するといった抜本的な対策をすでに発表しており、このうち約半分は同社の負担となる予定です。当然ながら、これらの大規模投資に伴う減価償却費の増加は、今後の利益を圧迫する可能性が高いと見られますが、日本の玄関口である航空インフラの「安全・安心」を高めることは、社会的使命として不可欠であり、投資を惜しむべきではないと私は考えます。
また、2019年6月下旬には、大阪でG20(主要20カ国・地域)首脳会議が開催される予定で、これに伴う要人警備のための交通規制などによって、一般の利用者にも影響が及ぶ懸念があります。山谷社長は「状況をリアルタイムで把握し、対応することが重要」と強調しており、会議期間中は幹部が関西国際空港近くのホテルに泊まり込み、24時間体制で万全の警備と対応にあたるとしています。
さらに同社は、将来的な成長路線を維持するため、関西国際空港の受け入れ能力を拡大する取り組みも進めています。2025年に大阪で国際博覧会(大阪・関西万博)が開催されるのを見据え、その時期までに第1ターミナルを改修する構想が打ち出されました。今後5年間、具体的には2024年3月期までの間で、3空港合計で総額約1,350億円を投じるという大規模な投資計画が進行中で、災害対策と成長投資という「二つの課題」**を両立できるかどうかが、今後の大きな焦点になるでしょう。
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