山梨県を拠点に活動する「山梨まんまくらぶ」の代表、若尾直子さんが今、日本の医療行政に新たな風を吹き込んでいます。乳がんのサバイバー(がんを経験し、克服を目指す方)として国のがん対策推進協議会の委員に抜擢された彼女ですが、その活動の最中に予期せぬ試練が襲いかかりました。なんと、第3期がん対策推進基本計画を策定するという重要な局面において、自身が急性白血病を発症してしまったのです。
2019年08月12日現在、若尾さんはまさに「希少がんの現役委員」として、病床から発信を続けていらっしゃいます。希少がんとは、年間の発生率が人口10万人あたり6例未満という、症例数が非常に少ないがんの総称です。患者数が少ないがゆえに、専門医の不足や治療法の確立が遅れがちという大きな課題を抱えています。彼女はこの困難な状況をあえて自らの使命と捉え、無菌室という隔離された環境からも、国の計画に対する貴重な意見を提出し続けました。
SNS上では、この若尾さんの献身的な姿勢に対して「病気と闘いながら他者のために動ける強さに涙が出る」「当事者にしか見えない視点を計画に反映させてほしい」といった熱いエールが数多く寄せられています。彼女の行動は、同じ病に苦しむ患者さんたちにとって、暗闇を照らす一筋の希望の光となっているに違いありません。単なる政策提言にとどまらず、命の重みを知る者だからこそ紡げる言葉が、人々の心を強く揺さぶっているのでしょう。
当事者の声が切り拓く医療の未来と、第3期がん対策推進基本計画への想い
若尾さんが情熱を注いでいる「がん対策推進基本計画」とは、国ががん対策を総合的に進めるための羅針盤となる極めて重要な指針です。彼女は、これまでの計画では十分に手が届いていなかった「隙間」を埋めるべく尽力されています。例えば、症例が少なく情報が手に入りにくい希少がん患者が、適切な診断や治療を受けられる体制の構築などが挙げられます。自らが当事者となったからこそ見える、制度の不備や患者の切実なニーズがあるはずです。
筆者は、若尾さんの活動こそが今の日本に必要な「真のリーダーシップ」であると確信しています。病という逆境を、社会をより良くするためのエネルギーへと昇華させる姿には、深い敬意を抱かざるを得ません。政策の決定過程に当事者が深く関わることは、単に意見を聞く以上の意味を持ちます。それは、机上の空論ではない、血の通った医療制度を作り上げるための不可欠なプロセスではないでしょうか。彼女の奮闘が、未来の医療現場を大きく変えることになるでしょう。
2019年08月12日の取材時点でも、若尾さんの闘志が衰えることはありません。無菌室という制約を乗り越え、彼女が届けようとする声は、がん対策の歴史における重要な1ページとして刻まれるはずです。私たちは、一人の女性が命を懸けて訴え続ける「誰もが安心して治療を受けられる社会」の実現を、静かに、しかし力強く支持していくべきです。彼女が蒔いた希望の種が、全国の医療現場で大きな花を咲かせる日が来ることを切に願ってやみません。
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