2019年09月12日、世界の貿易情勢に緊張が走っています。欧州連合(EU)が環境保護を掲げて打ち出したパーム油の輸入制限方針に対し、主要な生産国であるマレーシアとインドネシアが激しい憤りを示しているのです。私たちの生活に欠かせない食品や化粧品、洗剤などに幅広く使われているパーム油を巡り、今まさに「経済」と「環境」の巨大な衝突が起きています。
パーム油とはアブラヤシの実から採れる植物油のことですが、EUはその生産過程における森林破壊を問題視しています。特に熱帯雨林を伐採して農園を拡大することが、地球温暖化や生物多様性の喪失を招いているという主張です。このためEUは、再生可能エネルギーとしてのバイオ燃料からパーム油を段階的に除外する方針を決定しました。しかし、これは生産国にとって死活問題に他なりません。
この動きを受け、マレーシアとインドネシアの両政府は世界貿易機関(WTO)への提訴を視野に入れた検討を開始しました。WTOとは、国と国との間の貿易ルールを定め、紛争を解決するための国際機関です。生産国側は、EUの措置が不当な差別であり、自由貿易の原則に反すると強く反発しています。SNS上でも「環境を盾にした保護主義だ」という批判や、「森を守るためには仕方ない」という意見が飛び交っています。
報復関税の応酬も?激化する貿易戦争の懸念
対立の溝は深く、単なる議論に留まらない実力行使の気配も漂っています。生産国側はEUからの輸入製品に対して報復関税を課すことも辞さない構えを見せており、貿易の応酬が泥沼化するリスクが高まっていると言えるでしょう。報復関税とは、相手国の不当な措置に対抗して、特定の輸入品に高い税金を上乗せし、相手に打撃を与える対抗策のことです。これが現実となれば、世界経済への影響は避けられません。
私は、この問題は決して遠い国の出来事ではないと考えています。環境保護は人類共通の課題ですが、それを達成するプロセスにおいて、開発途上国の主要産業を一方的に排除するやり方は、かえって対立を深めるだけではないでしょうか。持続可能な生産体制を共に構築する「対話」こそが、今求められているはずです。強硬な姿勢のぶつかり合いは、誰も望まない経済の冷え込みを招くことになりかねません。
今後、2019年09月12日以降の動きとして、WTOでの協議がどのように進展するのかが最大の注目点となります。環境を守るという大義名分と、国家の経済を支える農家の暮らし、この二つの正義がどのような着地点を見つけるのか、私たちは注視していく必要があります。グローバルな供給網が複雑に絡み合う現代において、このパーム油論争は新たな貿易のあり方を問う試金石となるでしょう。
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