2019年10月21日現在、私たちの老後を取り巻く環境は大きく変化しており、将来への不安を抱く方が急増しています。SNS上でも「年金だけで本当に生活できるの?」「老後破産したらどうしよう」といった、切実な声が毎日のように飛び交っている状況です。かつてのように、国に頼りきりになるライフスタイルは、もはや限界を迎えていると言えるでしょう。
そんな中、同志社大学の佐々木一郎教授は、これからの長寿社会を生き抜くための重要な指針を提示されました。それは、国から支給される公的年金だけに依存するのではなく、定年後も働き続けて収入を得たり、自分自身で積み立てる個人年金を活用したりすることです。つまり、複数の財布を持つことで生活の基盤を安定させるというアプローチになります。
投資の世界には「卵を一つのカゴに盛るな」という有名な格言がありますが、これは老後の家計管理にもそのまま当てはまります。万が一、一つの収入源が細ってしまったとしても、別の収入源があれば生活へのダメージを最小限に抑えられるからです。専門用語ではこれを「リスク分散」と呼び、将来の不確実性に備えるための極めて有効な防衛策と言えます。
複雑な年金制度を理解し、主体的に備える時代へ
ここで少し専門的な言葉を補足しておきましょう。「公的年金」とは、国民年金や厚生年金など、国が運営し原則として生きている限り受け取れる制度のことです。一方「個人年金」は、iDeCo(個人型確定拠出年金)や民間の保険商品など、自助努力で準備する私的な資金を指しています。これらをバランスよく組み合わせることが、豊かなシニアライフへの第一歩なのです。
また佐々木教授は、国に対して新たな支援の形を求めておられます。それは、国民一人ひとりが自分のライフプランを主体的に描けるような、よりシンプルで分かりやすい金融教育の提供です。さらに、年金を受け取り始める年齢をいつにするべきか、個別の事情に合わせて気軽に相談できる窓口やサポート体制の拡充も急務であると指摘されています。
ネット上の反響を見ても、「制度が複雑すぎて、自分がいくらもらえるのか全く分からない」という不満の声が後を絶ちません。確かに現在のシステムは難解であり、誰もが簡単に理解できる設計とは言い難いのが実情です。だからこそ、国には「制度を作って終わり」ではなく、利用者の目線に立った丁寧な情報発信と寄り添う姿勢が強く求められているのではないでしょうか。
編集者である私個人の見解としても、この考えには深く賛同いたします。国によるサポート体制の整備は当然必要ですが、同時に私たち国民の側も、金融リテラシーを高めていく努力を怠ってはいけません。厳しい時代だからこそ、受け身の姿勢を捨てて自ら情報を掴み取り、賢く生き抜くための知恵を身につけていくべきだと確信しています。
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