KDDIの連結子会社として「auスマートパス」の運営などを担う株式会社mediba(メディーバ)が、2019年10月1日より人事制度を劇的に刷新しました。この変革の核となるのは、社員を18種類もの細分化された「職能(ジョブ)」に分類し、それぞれの専門性を極限まで高める育成体制です。従来の画一的なキャリアパスから脱却し、個々のスキルに焦点を当てたこの試みは、次世代通信規格「5G」時代の到来を見据えた、組織力強化の決定打として注目を集めています。
今回の制度改革で驚くべきは、昇格スピードの劇的な変化でしょう。これまでは一段階の昇格に最短でも7年という長い年月を要していましたが、新制度では実力次第で最短「半年」での昇格が可能となりました。ネット上では「IT業界らしいスピード感」「若手のモチベーションが爆上がりしそう」といった期待の声が寄せられています。優秀な人材が年功序列の壁に突き当たることなく、その専門性を正当に評価される環境が整ったことは、まさに現代の働き方に合致した英断だと言えます。
「エンジニア」をひとくくりにしない、超・専門職集団への進化
メディーバが導入した「18の職能」は、非常にきめ細やかな設定がなされています。例えば、単に「エンジニア」と呼ぶのではなく、海外拠点との橋渡しを担う「ブリッジエンジニア」や、製品の品質を担保する「クオリティーエンジニア」といった形で、役割ごとに明確に区分されました。専門用語としての「職能」とは、特定の職務を遂行するために必要な能力を指しますが、これを細分化することで、社員は自分がどの分野のプロフェッショナルを目指すべきか、迷いなく突き進むことができるようになるのです。
さらに、この新体制では「育成」と「プロジェクト遂行」の役割分担を明確にしています。各職能チームには部長級の育成担当が配置され、日々の指導やキャリア面談を専任で行います。これにより、従来の管理職が抱えていた「現場の成果」と「部下の育成」という二重の負担が軽減されることになります。現場責任者はプロジェクトの成功のみに全力を注げるようになり、結果として組織全体の生産性が飛躍的に向上する仕組みです。これは、マネジメントの最適化という視点でも非常に理にかなった設計です。
美意識とチームワークを重視する、独自の価値基準「バリュー」
一方で、個人のスキルさえ高ければ良いというわけではありません。メディーバは新たに「バリュー」と呼ばれる4つの行動指針を策定しました。顧客第一を掲げる「All for User」や、自らの信条に従う「Be Beautiful(美しくあれ)」といった指針があり、これに反する行為をした場合は、たとえ業績が良くても評価されないという徹底ぶりです。個人の突出した成果よりも、チーム全体での調和や倫理観を重んじる姿勢は、持続可能な企業文化を築く上で欠かせない要素となるでしょう。
給与体系においても、社員の生活の安定と挑戦を両立させる工夫が見られます。月例給(毎月の基本給)の比率を約1割引き上げることで、賞与に過度に依存しない安定した報酬形態へと移行しました。私は、この「個人の専門性を磨きつつ、チームで成果を分かち合う」というバランス感覚こそが、2021年に新サービス売上比率を45%まで引き上げるという同社の高い目標を達成するための鍵になると確信しています。プロとしての矜持とチームの絆が、メディーバの新たな未来を切り拓くはずです。
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