任天堂の看板ハードである「ニンテンドースイッチ」が、破竹の勢いで業績を牽引しています。2019年10月31日に発表された2019年4月から9月期の連結決算では、販売台数が前年の同じ時期を大幅に上回るという輝かしい数字が並びました。古川俊太郎社長も、ハードとソフトの両輪ががっちりと噛み合い、極めて順調に推移していると手応えを語っています。
特筆すべきは、2019年9月に投入された新型モデル「ニンテンドースイッチライト」の存在でしょう。持ち運びに特化し、価格を従来機の約7割に抑えたこの戦略モデルは、発売からわずかな期間で195万台を売り上げるロケットスタートを記録しました。こうした巧みなハード展開が、任天堂の収益基盤をより強固なものへと押し上げているのです。
過去のヒット機が苦しんだ「魔の3年目」という壁
家庭用ゲーム機ビジネスには、発売から3年から4年が経過すると販売勢力が衰えるという、避けては通れない宿命が存在します。かつて世界累計1億台を突破した「Wii(ウィー)」でさえ、実質3年目にあたる2010年3月期には販売台数が2割も減少しました。この「3年目の鬼門」をいかに乗り越えるかが、現在の任天堂にとって最大の焦点となります。
SNS上では「ライトの登場で2台目需要が加速した」「場所を選ばず遊べるのが今の時代に合っている」といった好意的な意見が目立ちます。ライト層からコアゲーマーまでを幅広く取り込む戦略は、今のところ見事に的中していると言えるでしょう。過去の失敗を教訓に、矢継ぎ早に策を講じる同社の姿勢には、並々ならぬ執念が感じられます。
さらに、2019年11月15日には世界的な人気を誇る「ポケットモンスター ソード・シールド」の発売が控えています。ポケモンという強力なIP(知的財産)は、ハードの普及を劇的に加速させる力を持っています。年末商戦に向けて、これほど心強い援軍はありません。まさに完璧な布陣で、任天堂は「魔の3年目」という壁を粉砕しようとしています。
クラウドゲームの襲来と次なる市場への挑戦
しかし、楽観視できない状況も生まれています。2019年11月からは米グーグルによる「スタディア(Stadia)」が始動します。これは「クラウドゲーム」と呼ばれる、高価なゲーム専用機を介さず、サーバー側で処理した映像をネット経由で楽しむ新しい形態のサービスです。ゲームを所有する時代から、ストリーミングで利用する時代への転換期と言えます。
クラウドの台頭により、市場環境は劇的な変化を余儀なくされるでしょう。専用機の強みを活かしつつ、いかに次世代の波と共存を図るかが、中長期的な成否を分けるポイントになります。個人的な見解としては、独自ソフトの魅力こそが任天堂の生命線であり、技術革新を逆手に取った独創的な体験を提供し続ける限り、その優位性は揺るがないと考えています。
スイッチが業績の柱として輝き続けるためには、新モデルの浸透と魅力的なソフト供給の継続が不可欠です。古川体制となって加速する攻めの経営が、かつてのWiiが直面した失速の歴史を塗り替えるのか、世界中のファンと投資家がその動向を注視しています。冬の商戦に向けた任天堂の「次の一手」から、一瞬たりとも目が離せません。
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