2019年11月01日現在、メディアでは連日のように不祥事や謝罪会見のニュースが飛び交っています。有名企業や教育機関、医療現場の責任者が深々と頭を下げる光景は、もはや日常の一部となりました。しかし、形ばかりの謝罪がかえって火に油を注ぎ、世間の猛烈な反発を招くケースも少なくありません。積み上げてきた権威や信頼が一瞬で崩れ去る、そんな危うい時代に私たちは生きています。
こうした状況の中、かつて吉本興業で数々の修羅場を仕切り、「謝罪マスター」の異名を持つ竹中功氏の言葉が注目を集めています。SNSでは「今の時代、謝り方一つで人生が決まる」「吉本の会見は確かに納得がいかなかった」といった声が相次いでおり、現代社会における「誠実な謝罪」の重要性が再認識されているのです。ネット時代の危機管理は、もはや全てのビジネスパーソンにとって必須の教養と言えるでしょう。
吉本興業「闇営業問題」の会見から学ぶ、謝罪の決定的な欠落
竹中氏は、2019年07月に行われた吉本興業の岡本昭彦社長による記者会見を「0点」と厳しく断じました。また、それに先立つタレントの宮迫博之氏らの会見も同様の評価を下しています。その理由は極めて明確です。どちらの会見も、本来最も向き合うべき「被害者」に対する謝罪の姿勢が、完全に見失われていたからです。誰が、誰に対して、どのような事柄を詫びているのかが不明瞭な謝罪は、受け手に届くはずもありません。
そもそも「良い謝罪」の定義とは、論理的な事実究明に基づき、謝罪の対象と理由を明確にすることにあります。自分の非を認める勇気を持ち、主語と目的語を正しく配置することが、信頼回復への第一歩となるのです。現場の指揮官として多くのトラブルを解決してきた竹中氏の視点は、感情論に流されがちな会見の場に、冷徹なまでの客観性と誠実さが必要であることを私たちに教えてくれています。
SNS時代の「不寛容」を生き抜く。怒りのメカニズムを理解する
なぜ現代は、これほどまでに「謝罪」が求められる場面が増えているのでしょうか。竹中氏はその背景に、インターネット社会特有の「情報の蓄積性」があると指摘します。過去の問題が検索によって瞬時に蒸し返される現在、経営者はその恐ろしさを真に理解すべきです。「自分だけは大丈夫だ」という慢心や、他社の不祥事を他人事と捉える甘い認識こそが、取り返しのつかないトラブルを招く最大の要因となります。
謝罪の本質を捉えるためには、まず相手の「怒り」の正体を理解しなければなりません。怒りとは、期待していた状況と現実との間に生じた「ズレ」から生まれる感情の動きです。この「イカリ」を丁寧な対話と事実確認によって、納得を伴う「リカイ(理解)」へと変えていくプロセスこそが謝罪の真髄でしょう。例え怒っているのが一人であっても、それが正当な訴えであれば、誠心誠意対応する姿勢が求められます。
私自身の考えを述べさせていただけるなら、謝罪とは単なる幕引きの儀式ではなく、未来の関係性を再構築するための「対話の始まり」であるべきです。保身のための言い訳は、すぐに見透かされてしまいます。竹中氏が説くように、相手の感情の動きに寄り添い、真摯に事実と向き合うこと。それこそが、情報が瞬時に拡散される不寛容な現代において、自分自身と組織を守るための最強のスキルになるはずです。
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