2019年11月01日、欧州経済に警鐘を鳴らす指標が発表されました。ユーロ圏の7月から9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、年率換算で横ばいの0.2%増(前年同期比0.8%増)に留まっています。この停滞感を受け、各国政府が公共事業などでお金を動かす「財政出動」への期待がかつてないほど高まっているのです。
現在、欧州中央銀行(ECB)は金利を極限まで下げるなど、金融政策で景気を支えようとしていますが、その手法も限界を迎えつつあります。市場では「次は政府が動く番だ」という声が支配的で、SNSでも「金融緩和だけではもう限界。実体経済への直接的な支援が必要だ」といった意見が多く見受けられ、議論が白熱しています。
EUの厳格な「財政ルール」がもたらす足並みの乱れ
景気の下支えが急務とされる一方で、欧州連合(EU)には「財政赤字をGDP比3%以内、公的債務を60%以内に抑える」という非常に厳しい鉄の掟が存在します。このルールがあるがゆえに、各国は思い切った対策を打てずに苦慮しているのです。専門用語で「財政規律」と呼ばれるこの仕組みは、経済破綻を防ぐ守り刀ですが、今は皮肉にも景気回復の足かせとなっています。
主要国の対応を見てみると、その温度差は歴然です。経済の牽引役であるドイツは、2020年の予算案でも黒字を維持する健全化路線を譲りません。5G網の整備や気候変動対策への投資は進めるものの、財布の紐は依然として固いままです。対照的なのがイタリアで、EUの警告を押し切る形で減税や子育て支援を盛り込み、借金をしてでも景気を浮揚させる姿勢を鮮明にしています。
一方のフランスは、低金利による利払い負担の減少を賢く利用し、家計向けの大型減税を打ち出しました。これは個人の消費意欲を高める「賢い折衷案」といえるでしょう。しかし、このように各国がバラバラの方向を向いていては、ユーロ圏全体としての効果は薄れてしまいます。ルールを柔軟に運用し、未来の成長分野にはもっと大胆に投資すべき時が来ているのではないでしょうか。
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