青い海を漂うプラスチックごみが、今や地球規模の喫緊の課題となっていることをご存じでしょうか。2019年6月に大阪で開催されたG20サミットでは、2050年までに新たな海洋汚染をゼロにするという壮大な目標が掲げられました。この国際的な流れを受け、日本の素材メーカーや消費財大手が、これまでの常識を覆すような対策に本腰を入れ始めています。SNS上でも「ストローが紙になった」「マイバッグが当たり前になった」といった身近な変化への関心がかつてないほど高まっています。
日本政府も2019年5月に「プラスチック資源循環計画」を策定し、使い捨てプラスチックの排出量を累計で25%削減するなどの厳しい数値目標を打ち出しました。実は2017年の国内プラスチック排出量は約903万トンに達しており、1人あたりの排出量は世界的に見ても非常に多い水準にあります。こうした現状を打破するため、企業は単なる「節約」ではなく、科学の力を使った「再生」へと舵を切っています。特に注目されるのが、資源をそのまま再利用する「マテリアルリサイクル」という手法です。
象徴的な動きとして、旭化成とライオンがタッグを組んだプロジェクトが挙げられます。これは、洗剤などの容器に使われるポリエチレンを、再び容器として蘇らせる高度な技術開発です。これまでリサイクルが難しいとされてきた分野に、競合の垣根を越えて挑む姿は、まさに新時代のビジネスモデルと言えるでしょう。また、花王は2030年までにプラスチック使用量を大幅に抑えた新容器を年間3億個も普及させる計画を立てており、私たちの生活に密着した部分から確実な変化が始まっています。
さらに、飲料大手のサントリーホールディングスは、2030年までに化石燃料由来のペットボトルをゼロにするという、驚くべき宣言を行いました。使用済みボトルからの再生原料と植物由来のバイオプラスチックを組み合わせることで、持続可能な循環型社会を目指しています。一方、カネカが注力している「生分解性プラスチック」も大きな鍵を握っています。これは、自然界の微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される魔法のような素材です。同社は2019年末までに、その生産能力を従来の5倍に引き上げる予定です。
三菱ケミカルが展開する生分解性プラ「バイオPBS」は、すでに私たちの身近な場所で活躍しています。京浜急行電鉄やワシントンホテルでのストロー採用に加え、人気ブランド「コム・デ・ギャルソン」のショッピングバッグにも導入が決まりました。こうした「おしゃれで環境に優しい」選択肢が増えることは、消費者の意識を変える大きな原動力になるでしょう。一人の編集者として、環境配慮が我慢ではなく「新しいスタイル」として定着しつつある現状に、非常に明るい未来を感じています。
現在、企業間の連携を推進する「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」には、2019年10月時点で265社もの企業が集結しています。この動きは日本国内に留まらず、東南アジアなどプラごみ流出が深刻な地域へも広がることが期待されています。個別の企業努力を超え、世界がワンチームとなって挑むこの「廃プラ削減」の潮流は、私たちの地球を守るための最も力強い一歩となるに違いありません。私たち消費者も、こうした企業の挑戦を正しく知り、応援していく姿勢が求められています。
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