名古屋の顔として親しまれている名鉄百貨店が、大きな決断を下しました。2019年11月26日、同社は2020年4月から名古屋駅の本店と一宮店の両店舗において、原則として月に1回の休業日を設けることを発表したのです。百貨店といえば年中無休に近い営業スタイルが一般的ですが、今回の施策は約20年ぶりに月1回の定休日を復活させるという、業界でも注目を集める大胆な方針転換といえるでしょう。
現在、本店の年間休業日は2020年1月1日の元日のみとなっており、一宮店でも年間でわずか5日間に留まっています。この背景には、深刻な労働力不足という社会問題が横たわっています。労働力人口、つまり15歳以上で働く意欲を持つ人々の数が減り続ける中で、不規則になりがちな百貨店業界の勤務形態を抜本的に見直し、優秀な人材を確保し続けたいという経営側の強い危機感が、今回の決定を後押ししたようです。
「売上よりも従業員の笑顔」という英断とSNSの期待
今回の発表を受け、SNS上では驚きとともに「ホワイト企業への第一歩」「リフレッシュした店員さんに接客してもらえるのは嬉しい」といったポジティブな反応が相次いでいます。確かに、休業日を増やすことは売上の減少に直結するリスクを孕んでいます。しかし名鉄百貨店の広報担当者は、目先の収益以上に「働き方改革」を成し遂げることが、企業が存続するための最重要課題であると力説しており、その姿勢に多くの共感が集まっています。
ここで注目したいのが、単なる休み増加に留まらない「接客サービスの向上」という戦略です。営業日には店員さんの配置を最適化することで、一人ひとりのお客様に対してより丁寧な対応が可能になります。いわゆる「働き方改革」とは、単に労働時間を削るだけでなく、働く側の意欲や環境を整えることで、最終的に提供する価値の質を高めることを指します。名鉄百貨店は、まさにこの本質に挑もうとしているのでしょう。
名古屋市内では、JR名古屋タカシマヤや松坂屋名古屋店、名古屋三越栄店といった競合他社が、依然として元日以外は無休に近い営業を続けています。こうした中で名鉄百貨店が先陣を切って「休む勇気」を持ったことは、地域全体の労働環境に一石を投じるはずです。私個人としても、心に余裕を持ったスタッフが迎えてくれる百貨店の方が、より豊かな買い物体験を味わえるのではないかと期待しています。
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