【経営の極意】サムライインキュベート榊原健太郎氏が語る、組織と家族を崩壊から救う「幸福の優先順位」とは?

世界を変えようと志す起業家やビジネスパーソンにとって、自社のビジョンは魂とも呼べる存在です。IT起業家の育成支援で知られるサムライインキュベートの創業者、榊原健太郎氏は「全人類がそれぞれの幸福で満たされる世界」という壮大な目標を掲げています。しかし、その過程で同氏は、リーダーが最も見失いやすい「幸福にするための優先順位」という壁に直面したそうです。

かつての榊原氏は、自分のやりたいことを最優先し、次にお客様、その後に家族や社員という順番で幸福を考えていました。2014年のイスラエル進出という夢に突き進むあまり、足元の家庭や社員への配慮を欠いてしまったのです。SNS上でも「情熱と独りよがりは紙一重」といった声が上がっていますが、まさに当時は大切な絆を置き去りにした猛進状態だったのでしょう。

その結果、家庭には深い亀裂が生じ、社内では離職者が相次ぐという深刻な経営危機を招きました。去りゆくメンバーから投げかけられた「人に興味がないですよね」という言葉は、独善的なリーダーシップへの痛烈な警告だったと言えます。自分の夢ばかりを追いかけ、支えてくれる人々を顧みない姿勢が、結果として組織の活力を奪い、業績の悪化という形で跳ね返ってきたのです。

その後、榊原氏は残ったメンバーと共に、企業の収益性を改善して再生を図る「ターンアラウンド」に取り組みました。2019年11月27日現在の状況として、前年度には過去最高の売上高と営業利益を達成するという見事な復活劇を遂げています。ここで特筆すべきは、業績回復の裏側で、彼自身のプライベートな過ごし方が劇的に変化したという点ではないでしょうか。

現在の榊原氏は、週末には岐阜で待つ妻子のもとへ必ず帰り、家族との時間を何よりも重んじています。一見すると仕事量が減るように思えますが、この心の安定こそが強固な基盤となっているのです。彼は今の好調を「メンバーの献身的な努力のおかげ」と冷静に分析しており、人生には仕事だけに全力を注げる時期ばかりではないという真理を深く悟っています。

今の彼が信じる優先順位は、まず自分と家族、そして社員とその家族の幸福を土台に据えることです。その基盤があってこそ、初めてお客様や株主へ価値を提供できると確信しています。身近な人々を幸せにできないリーダーが、世界を救うことなど到底不可能です。1人で成し遂げる限界を知り、周囲の幸福を自分の力に変える姿勢こそ、持続可能な経営の鍵と言えるでしょう。

私自身、このエピソードから「自己犠牲が美徳」という古いビジネス観の危うさを感じました。土台が腐っていては、どんな立派な建物も建ちません。榊原氏が示す新しい優先順位は、現代のリーダーにとって非常に健全で本質的な指針です。皆さんも一度立ち止まり、自分や家族、そして仲間の顔を思い浮かべながら、本当の「幸福のカタチ」を語り合ってみてはいかがでしょうか。

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