2019年11月29日、私たちの食卓でおなじみの「ちりめんじゃこ」に関する、画期的なニュースが飛び込んでまいりました。広島県尾道市に拠点を置く海産物卸売の株式会社カタオカが、尾道市立大学と共同で人工知能を活用した異物除去システムを開発したのです。この取り組みは、地元企業と大学が手を組んだ素晴らしい産学連携のモデルケースと言えるでしょう。
瀬戸内海の恵みであるイワシの稚魚を釜ゆでして乾燥させた特産品には、どうしても数ミリメートルサイズの小さなエビやカニなどが混入してしまいます。これまで同社では、機械による選別の後に約30人もの作業員が目視で最終確認を行っていたのです。しかし人間の目だけで完全に異物を取り除くのは至難の業であり、学校給食などアレルギー対策に敏感な現場からの厳しい要望に応える必要がありました。
この課題解決に向けて導入されたのが、人間の思考プロセスをコンピューター上で再現し、膨大な情報から特徴を見つけ出すAIという最新技術が鍵を握ります。SNS上でも「ちりめんじゃこの選別にAIを使うなんてハイテクすぎる」「アレルギー持ちの子供がいるから本当に助かる」といった、驚きと期待の声が次々と上がっているそうです。食品の安全に対する消費者の関心が、いかに高いかが伺えますね。
開発を主導したのは、尾道市立大学経済情報学部で膨大なデータの集合体であるビッグデータを専門とする木村文則准教授と本田治准教授のチームでした。学生たちは連日、異物が混入している画像とそうでない画像を数万枚単位で撮影し、機械に学習させ続けたと言います。微小な対象物を見分けるのは極めて困難ですが、画像の解像度を限界まで高めることで識別能力を大幅に向上させました。
地元密着の産学連携がもたらす明るい未来
その結果、現段階でも70パーセントから80パーセントという極めて高い精度での異物検知に成功しており、片岡彰一郎社長も大いに満足するレベルに到達しているとのことです。2020年には異物を検知した際にアラート音で知らせるシステムとして、実際の生産ラインへ本格導入される予定となっています。目視検査の負担が減ることで、これまでチェック作業を担っていたスタッフを別の工程へ再配置することも可能になるでしょう。
同社の2019年4月期の売上高は約61億円に上り、そのうち約40億円をちりめんじゃこが占めるなど、国内トップクラスの実績を誇ります。「異物が入っていない」という圧倒的な品質の高さは、店頭での競争力をさらに盤石なものにするに違いありません。私個人としても、資金提供から始まったこのプロジェクトが実を結び、携わった学生の1人が2021年春に同社へ入社するというエピソードには胸が熱くなりました。
地方の企業と大学による連携は、資金や人材の面から決して簡単な道のりではなかったはずです。それでも「小さな街の小さな企業と大学でも立派な産学連携ができる」という片岡社長の力強い言葉は、全国の地域産業に大いなる勇気を与えることでしょう。最新テクノロジーと地域社会の絆が融合したこの素晴らしい取り組みが、今後の日本の食品業界にどのような変革をもたらすのか、引き続き熱い視線を注いでいきたいですね。
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