装着型サイボーグとして世界中から注目を集める「HAL」を展開するサイバーダイン株式会社が、2019年11月14日に2019年4月から9月期の連結決算を明らかにしました。今回の発表によると、営業損益は3億8000万円の赤字を記録しており、前年同期の2億6800万円の赤字からさらに幅が広がる形となっています。一見すると厳しい数字に見えるかもしれませんが、その内訳を覗いてみると、同社が描く壮大な成長戦略の過程であることが分かります。
主力のロボットスーツ「HAL」は、医療用を中心にレンタル事業が極めて好調に推移しました。この「HAL」とは、身体が不自由な方の動作をアシストしたり、リハビリテーションを支援したりする最先端のロボット技術です。需要の増加に伴って売上総利益率、いわゆる「粗利」の割合が改善しており、ビジネスの土台となる収益力は着実に高まっていると言えるでしょう。実際に、売上高は前年同期比で9%増となる8億2300万円まで伸びています。
それにもかかわらず赤字が膨らんだ主な要因は、販売管理費(販管費)の大幅な増加にあります。販管費とは、商品の販売や企業の管理・維持に必要となる費用の総称です。現在、同社は東南アジアや欧州といったグローバル市場への進出を猛烈なスピードで進めており、そのための広告宣伝や拠点構築に多額の資金を投じているのです。SNS上では「赤字は覚悟の上での先行投資だ」「世界を狙うなら今が踏ん張り時」といった、期待を込めたエールが多く寄せられています。
医療現場から空港まで!広がる「HAL」の活躍フィールドと今後の展望
「HAL」の活躍の場は、今や病院の中だけにとどまりません。国内の医療機関での導入が進む一方で、空港の貨物搬送や工場の重作業をサポートする作業支援用のモデルも、日本国内で着実にシェアを広げています。身体への負担を軽減するこの技術は、労働力不足が懸念される現代社会において、まさに「救世主」とも呼べる存在になるはずです。多様な現場での実績作りが、将来的な大きな収益源へと繋がっていくことは間違いありません。
今後の見通しについて、サイバーダインは2020年3月期の通期予想をあえて公表していませんが、山海嘉之社長は強気の姿勢を崩していません。医療用モデルが牽引役となり、通期の売上高は17億5000万円から22億5000万円に達するとの見通しを語っています。赤字という表面的な数字に惑わされず、着実に「未来のインフラ」としての地位を固めつつある同社の動向からは、今後も目が離せないと言えるでしょう。
編集者の視点から言えば、現在のサイバーダインはまさに「産みの苦しみ」の中にあります。革新的なテクノロジーを世界標準にするためには、初期の莫大なコスト投下は避けられません。短期的な利益を追い求めるのではなく、数年後の世界で「HAL」が当たり前に存在する未来を見据えた、極めて戦略的な赤字であると評価すべきです。日本発のイノベーションが世界を席巻する瞬間を、私たちは今、リアルタイムで目撃しているのかもしれません。
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