2019年11月15日現在の東京株式市場では、ここ1カ月ほどの急激な株価上昇に対する警戒感が強まってきました。連日のように高値を更新してきた反動もあり、11月14日には短期的に価格が上がりすぎたと判断された銘柄を中心に、利益を確保するための売りが相次いでいます。
SNS上でも「そろそろ調整が入ると思っていた」「利益が出ているうちに手放すべきか」といった投資家のリアルな声が目立っています。市場全体が天井圏に近づいているというムードが漂う一方で、投資家の視線はすでに、上昇の波に乗り遅れている割安な銘柄へと移り始めているようです。
今回、特に売りの対象となったのは、25日移動平均線から大きく上に離れてしまった銘柄です。移動平均線とは、過去25日間の株価の平均値を結んだ線のことで、現在の価格がこの線から離れすぎている状態を「乖離(かいり)」と呼び、相場の行き過ぎを測る指標となります。
具体的な例を挙げますと、2019年11月14日には島津製作所が前日比で3%安、王子ホールディングスが5%安を記録しました。これらの銘柄は前日の時点で、移動平均線から10%以上も上に突き抜けており、市場では「さすがに買われすぎ」という認識が共通していたのでしょう。
8連騰と快進撃を続けていた日本ガイシも、ここ2日間で5%ほど値を下げています。これら素材や機械関連の株は、企業の持っている資産に対して株価が割安であることを示す「PBR(株価純資産倍率)」を指標に買われてきましたが、買い戻しの動きが一巡したことで、一旦の調整局面を迎えたといえます。
相場全体の過熱をどう読むか?新たな投資チャンスの兆し
市場の過熱感を示す「騰落レシオ」は、2019年11月13日時点で134%に達しました。これは値上がりした銘柄数が値下がりを大きく上回っている状態を指し、一般的に120%を超えると過熱気味とされます。東証1部の約3割の銘柄が勢いづいている今の状況は、まさに「お祭り騒ぎ」の後の静けさを予感させます。
しかし、こうした中で逆襲を始めているのが、夏場まで低迷していた「出遅れ銘柄」です。2019年11月14日には、ロート製薬やヤマハ発動機が大幅に値を上げました。これらは8月に年初来安値を付けた後にじわじわと回復してきた銘柄で、最新の決算内容が安心感を与えた結果、改めて買い直されています。
私自身の見解としては、現在の相場は非常に健全な循環物色のプロセスにあると考えています。特定の銘柄だけが暴騰するのではなく、過熱したセクターから資金が抜け、まだ評価されていない優良銘柄へとお金が流れる動きは、相場が長続きするための必須条件といえるからです。
もちろん、2019年11月12日に付けた年初来高値をさらに更新するには、米中通商問題の進展といった強力な追い風が必要不可欠でしょう。今は闇雲に高値を追うのではなく、しっかりとした実績がありながらも、まだ注目を浴びていない「掘り出し物」を探す忍耐強さが求められる時期ではないでしょうか。
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