高島屋とセーレンの「ディアマユコ」が清算へ。繭の力で挑んだ化粧品事業の軌跡と決断の背景

百貨店大手の高島屋が、総合繊維メーカーのセーレンとタッグを組んで展開してきたライフスタイル提案型ブランド「Dear Mayuko(ディアマユコ)」について、2020年8月31日をもって会社を清算することを明らかにしました。2015年に鳴り物入りで誕生した同社ですが、横浜店を含む国内外の主要な8拠点で展開してきた店舗網も、収益性の悪化を背景に幕を閉じることとなります。

このブランドの核となっていたのは、シルク(絹)から抽出される天然の保湿成分「セリシン」です。セリシンとは、蚕の繭を構成するタンパク質の一種で、人間の肌に近い組成を持ち、優れた保湿力や抗酸化作用を持つことで知られています。繊維技術のスペシャリストであるセーレンの知見を活かし、高島屋の販売網を通じて「上質な日常」を届けるという戦略は、当初、感度の高い層から大きな注目を集めていました。

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急成長の裏で膨らんだ赤字。厳しい経営状況のリアル

直近の業績に目を向けると、2019年2月期の営業収益は、前の期から85%増という驚異的な伸びを見せ、9800万円にまで達しています。数字だけを見ればブランドが浸透しつつあったようにも思えますが、収益構造は非常に厳しいものでした。売上の増加以上に経費が嵩み、営業損益は前の期の2億8600万円の赤字から、当期は3億8900万円の赤字へと、損失の幅が拡大する事態に陥っていたのです。

SNS上では、この発表を受けて「パッケージが可愛くて愛用していたのに残念」「百貨店ブランドならではの安心感があった」と、愛用者からの惜しむ声が続々と上がっています。一方で、化粧品市場は大手からD2Cブランドまでがひしめき合う激戦区でもあります。独自の価値を持つ製品であっても、店舗運営コストを上回る利益を安定して生み出し続けることの難しさが、今回の経営判断に繋がったと言えるでしょう。

編集者としての視点から言えば、この決断は高島屋が「不採算事業の早期整理」という厳しい姿勢を明確にしたものだと感じます。伝統ある百貨店が異業種と組んで新しい価値を創出する試みは素晴らしいものですが、変化の激しい現代では、伸び代が見込めない場合に素早く撤退することも重要な戦略です。良質な素材を用いたブランドだっただけに、この撤退が百貨店独自のブランド開発にどのような教訓を残すのか注目されます。

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