2016年の大統領選でドナルド・トランプ氏に惜敗したヒラリー・クリントン元国務長官が、次期大統領選への参戦に含みを持たせ、全米に激震が走っています。2019年11月12日、英BBCのラジオ番組に出演した彼女は、再出馬の可能性を問われ「絶対にないとは言わない」と明言しました。
現在72歳を迎えたクリントン氏ですが、もし自身が大統領になっていたら世界はどう変わっていただろうかと、今でも思いを馳せることがあるそうです。周囲からは立候補を期待する凄まじいプレッシャーを受けていると明かしつつ、現時点では具体的な計画はないと語るに留めましたが、その言葉の端々には再挑戦への意欲が滲んでいます。
SNS上では、この発言を受けて「彼女のリベンジが見たい!」という熱狂的な待望論が巻き起こる一方で、「新しいリーダーに道を譲るべきだ」という冷静な意見も飛び交っています。かつての主役が再び表舞台に姿を現そうとしている背景には、現在の民主党内における深刻な「本命不在」という事情が影を落としているようです。
有力候補の失速と急浮上する若手の存在
民主党の指名争いにおいて、中道派の筆頭と目されていたバイデン前副大統領は、現在苦境に立たされています。自身の息子がウクライナの企業役員を務めていた件を巡り、トランプ大統領からの激しい攻撃を受けており、その影響が支持率の低下という形で表面化し始めているのです。
こうした状況下で、同じく中道派のマイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長も出馬の手続きを進めるなど、ベテラン勢の動きが活発化しています。しかし、11月12日に発表された最新の世論調査では、37歳の若きブティジェッジ市長がアイオワ州で首位に躍り出るという、驚きの番狂わせも起きています。
ここで言う「中道派」とは、急進的な変化よりも現実的で穏健な政策を重視する勢力を指します。一方で、大学無償化などを掲げる「左派」のウォーレン氏らも根強い支持を集めており、党内はまさに群雄割拠の時代に突入したと言えるでしょう。
編集者としての視点:民主党が抱える「勝利へのジレンマ」
筆者は、今回のクリントン氏の発言は、単なる個人の野心ではなく、民主党全体の焦りの表れだと感じています。トランプ氏という強大なライバルを倒すためには、左派の理想主義では中西部の浮動票を取り込めないという、主流派の恐怖心が透けて見えるからです。
しかし、過去の敗北を象徴する顔ぶれや、70歳を超えるベテラン勢に頼り続けることが、果たして「変化」を求める有権者の心に響くのでしょうか。新しい時代の風を象徴する若手と、安定感はあるが新鮮味に欠けるベテラン。この対立構造こそが、現在の民主党が抱える最大のジレンマです。
2020年2月のアイオワ州党員集会から本格的な戦いが始まりますが、ヒラリー氏が「最後の切り札」として本当に参戦するのか、その動向から一刻も目が離せません。政治のダイナミズムが加速する中、彼女が決断を下す日は刻一刻と近づいているのかもしれません。
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