私たちの家庭で何気なく使われている電気の記録が、今、新たな価値を生む資源として注目を集めています。2019年11月20日、経済産業省はスマートメーターから得られる電力データを、企業や自治体が幅広く活用できるようにする新たな枠組み案を提示しました。これまで電力会社の内部に眠っていたデータが、私たちの生活をより便利にするための鍵として動き出すことになります。
具体的には、オンラインで電力使用量を把握できる「スマートメーター」のデータを活用します。これは、電気が「いつ」「どこで」「どれだけ」使われたかを30分単位で緻密に記録する装置です。2019年3月31日時点ですでに家庭などの設置率は6割を超えており、24年度には全国すべての世帯に普及する見通しです。この膨大な「生活の鼓動」が、ビジネスの姿を大きく変えるでしょう。
安心を支える「情報銀行」という新しい仕組み
プライバシーが気になる方も多いはずですが、その対策も万全に整えられています。データの流通を担うのは、厳しい審査を通過し認定を受けた「情報銀行」です。これは個人のデータを預かり、本人の同意に基づいて信頼できる企業へ提供を仲介するシステムを指します。万が一、途中でデータ提供を止めたくなった場合でも、個人の意思でいつでも拒否できる仕組みが導入される方針です。
SNS上では「生活パターンが把握されるのは少し怖いけれど、保険料が安くなるなら検討したい」といった期待と慎重さが入り混じった声が上がっています。また「災害時の避難計画に役立つなら協力したい」という、社会貢献への関心の高さも伺えます。政府は2020年の通常国会に電気事業法の改正案を提出する予定で、厳格なルールのもとで個人の権利を守りつつ、利便性を追求する構えです。
商圏分析から防災まで広がる無限の可能性
電力データの活用法は多岐にわたります。例えば、特定の地域で夕方に電力消費が急増するタイミングを分析すれば、スーパーの品揃えや配送ルートを最適化でき、人手不足の解消に繋がります。また、深夜の電力消費が多いエリアを特定して若年層向けの新規出店計画を立てるなど、高度な商圏分析も可能になるでしょう。私たちのライフスタイルに合わせた、無駄のないサービスが期待されます。
個人の同意を得た形であれば、さらに踏み込んだサービスも登場します。規則正しい電力利用が確認できれば、健康的な生活を送っている証として生命保険料を割り引くといった画期的な商品開発も夢ではありません。また自治体にとっては、時間帯ごとの正確な滞在人口を把握することで、より実効性の高い避難計画を策定できる大きなメリットがあります。
私は、この取り組みが日本独自の「三方良し」なデータ社会を築く第一歩になると確信しています。単なる情報の売買ではなく、信頼ある仲介者を通じて社会課題を解決し、私たち消費者に直接的な還元をもたらす仕組みだからです。2019年11月20日に示されたこの大きな一歩が、数年後の当たり前を創り出す。そんなワクワクする未来がすぐそこまで来ているのではないでしょうか。
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