印刷用紙の在庫急増で揺れる市況!UPMキュンメネ・ジャパン富永社長が語る「値上げ」の壁と未来

デジタル化の波が押し寄せる現代において、紙メディアの象徴ともいえる印刷用紙の市況に暗雲が立ち込めています。2019年11月20日現在、国内の製紙業界は供給不足から一転し、在庫の膨張という深刻な課題に直面しているのです。北欧の製紙大手、UPMキュンメネの日本法人を率いる富永達之助社長は、現在の厳しい需給バランスについて警鐘を鳴らしています。

2019年1月から9月における国内の「塗工紙」出荷量は、前年の同時期と比較して5.3%も減少しました。塗工紙とは、表面に白い顔料をコーティングすることでインクの発色を良くした高級感のある紙を指し、チラシやカタログに欠かせない存在です。しかし、ECサイトの普及がカタログ需要を奪い、期待されたラグビーW杯や増税対策の販促効果も、予測を下回る結果に終わったようです。

SNS上では「最近ポストに入るチラシが目に見えて減った」「何でもスマホで済ませるから紙を触る機会がない」といった声が多く、消費者の行動変化が如実に現れています。市場の関心は、もっぱら高止まりを続ける価格の行方に注がれています。富永社長は、価格の先行きを占う指標として、出荷量に対する「在庫率」の異常な跳ね上がりを重要なポイントとして挙げています。

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輸入紙の流入と問われる国内メーカーの覚悟

2018年12月末時点で126.3%だった在庫率は、2019年9月末には192.8%にまで急上昇しました。国内メーカーが生産設備の停止や災害によって供給を絞っていた隙を突くように、5月の連休明けから中国や欧州産の輸入紙が大量に流れ込んだことが背景にあります。需要が回復しない中で積み上がった山のような在庫が、現在の価格水準を維持する上での大きな重荷となっているのです。

富永社長は、国内メーカーの構造改革についても「需要減少のスピードに追いついていない」と厳しく指摘されています。UPM社はかつて2000万トンあった生産能力を800万トンまで大胆に削減し、筋肉質な体質へ変貌を遂げました。その結果、時価総額は円換算で2兆円規模にまで達しています。この事実は、痛みを伴う改革こそが企業価値を高める唯一の道であることを物語っているでしょう。

私は、日本の製紙業界も今こそ抜本的な「選択と集中」が必要な局面にあると感じます。単に供給を絞るだけでなく、デジタルと共生できる高付加価値な製品へのシフトを加速させるべきではないでしょうか。現状維持のままでは、海外勢との体力勝負に巻き込まれるリスクは拭えません。今後は、2020年の東京五輪に向けた販促需要がどこまで回復するかが、市場の命運を握ることになりそうです。

気になる価格の展望ですが、2020年春にかけて国内メーカーが値上げに踏み切る可能性も示唆されています。しかし、供給過剰が続く現状では「値上げは簡単ではない」というのが富永社長の現実的な見立てです。かつての勢いを失いつつある印刷用紙市場が、年末商戦やビッグイベントを機に再び活気を取り戻せるのか。業界全体が固唾を飲んで推移を見守っています。

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