外食チェーンと人気アニメ・ゲームとの融合が、今まさに驚くべき進化を遂げています。これまではメニューにおまけの景品を付ける手法が一般的でしたが、現在は作品の世界観を食卓へ丸ごと持ち込む「体験型コラボ」がトレンドです。2019年11月15日にはミスタードーナツから「ポケットモンスター」との新作コラボ商品が登場し、街中が大きな盛り上がりを見せています。
ミスタードーナツは、Nintendo Switch用ソフト『ポケットモンスター ソード・シールド』の発売を祝して、愛らしいキャラクターたちをモチーフにした限定ドーナツを投入しました。昨年のコラボでは看板アイテム「モンスターボール」を模した商品が品切れを連発するほどの大反響を呼びましたが、2回目となる今回はメニューを6種類にまで拡充しており、ファンの期待を裏切らない充実したラインナップが揃っています。
特筆すべきは、定番商品「フレンチクルーラー」をベースに開発された「ピカチュウのしっぽ」でしょう。SNS上では、その愛くるしいビジュアルに「可愛すぎて食べられない」といった声が溢れ、写真映えを意識した若年層を中心に投稿が相次いでいます。単なる販促を超え、版権(キャラクターの使用権利)を最大限に活用した商品開発によって、幅広い世代の心を掴んでいるのです。
こうした動きはミスタードーナツに留まりません。ゼンショーグループのココスジャパンも、人気スマートフォンゲームを原作とするテレビアニメ『Fate/Grand Order』との刺激的なコラボを展開しています。ここでは劇中に登場する料理を忠実に再現したメニューが提供されており、10代から30代の熱心なファンをターゲットにした独自の集客戦略が展開されています。
作品の世界に没入!「再現メニュー」が拓く外食の未来
ココスが提供する「藤丸のジューシーかぶりつきステーキ」といった再現メニューは、通常の料理より3割ほど高価な価格設定ですが、ファンにとっては物語を追体験できる貴重な機会です。かつてマクドナルドがぬいぐるみを景品にした「ハッピーミール」で成功を収めたように、食とエンタメの相性は抜群ですが、現在はより深い「没入感」が求められています。
企業間の垣根を越えた驚きの試みも始まっています。2019年10月には、吉野家や松屋を含む競合5社が結集した「外食戦隊ニクレンジャー」が、大人気アプリ『モンスターストライク』との異例のタッグを組みました。ライバル同士が手を取り合い、スマホゲームのユーザー層である若者にアプローチするこの手法は、外食業界における新しい協力の形として注目に値します。
ホットペッパーグルメ外食総研の調査によれば、2018年度の20代の外食回数は前年度比で4%増加しており、若年層の市場は着実に拡大しています。各社が趣向を凝らしたコラボを拡充しているのは、この成長株である若者たちに「店へ足を運ぶ理由」を提供し、食事そのものをイベント化することで、さらなる市場の活性化を狙っているからだと言えるでしょう。
私は、この「食×コンテンツ」の深化こそが、ネット時代の外食業界が生き残る鍵だと確信しています。SNSでの拡散力とキャラクターへの愛情を巧みに融合させたこれらの施策は、単なる食事を「忘れられない思い出」へと昇華させています。次はどんな人気作品が私たちの食卓を彩ってくれるのか、その進化から目が離せません。
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