北海道を訪れたなら、絶対に外せないのが札幌発祥のご当地グルメ「スープカレー」でしょう。さらりとした質感ながらもスパイスのコクが凝縮されたスープに、大地が育んだ大きな野菜が彩り豊かに並ぶ姿は、まさに食の芸術品です。現在、道内には少なくとも200店舗以上の専門店が軒を連ね、しのぎを削っています。SNS上でも「これまでのカレーの概念が覆された」「野菜の甘みがすごすぎる」と、連日のように感動の声が溢れているのです。
その起源を辿ると、意外なことに店員向けの「まかない料理」がルーツだといわれています。骨付きの鶏肉をじっくりと煮込んで取った旨味たっぷりのスープをお客さんに提供したことが、この食文化の始まりでした。当初は地下の店舗でインド音楽を流すようなマニアックな店が中心でしたが、近年は明るく開放的なカフェスタイルの店が増えたことで、老若男女に親しまれる国民食へと進化を遂げています。
名付け親は「マジックスパイス」!驚きのアレンジ文化
「スープカレー」という魅力的な名称を世に広めたのは、1993年に札幌市で創業した「マジックスパイス」のオーナー、下村泰山氏だといわれています。彼はインドネシアの伝統的なスープ料理「ソトアヤム」に着想を得て、この独創的なスタイルを確立しました。ソトアヤムとは、スパイスやハーブで鶏肉を煮込んだインドネシア風の鶏スープのことです。これに独自のスパイス配合を加え、日本人の口に合う絶品メニューへと昇華させたのでした。
専門店での注文方法は、自分の好みに合わせてカスタマイズできるのが最大の楽しみです。まずはベースとなるスープを選び、次に100円から300円程度で追加できるウズラの卵やオクラ、ベーコンといった多彩なトッピングを決めます。さらに1段階から5段階ほどに分かれた辛さのレベルや、ご飯の量を指定していくのが一般的です。自分だけの黄金比を見つける過程は、まさにエンターテインメントと言えるでしょう。
札幌に根付いた深いスープ文化と厳選された名店
なぜこれほどまでに札幌で普及したのでしょうか。北海道大学の近くで「カレー食堂 心」を営む開加津也さんは、札幌に「ラーメン」という強力なスープ文化が既に存在していたことが大きいと分析しています。良質な出汁を取る知識と、広大な大地が生み出す新鮮な食材が豊富にあったからこそ、この繊細な料理は花開きました。現在、2019年11月20日時点の状況を鑑みても、小学校の給食に採用されるほど地域に密着しています。
観光の合間に立ち寄るなら、大通やすすきの周辺に名店が集中していますが、少し足を伸ばして白石区にある「マジックスパイス」へ向かうのも一興です。そこでは道産野菜と鶏肉を贅沢に使った「法恵道(ほっけどう)」が1140円で提供され、多くのファンを虜にしています。また、夜の時間帯にお酒と共にスパイスを楽しみたい方には「Spice Bar TARA」もおすすめです。札幌の深い夜を、芳醇なスパイスの香りと共に満喫してみてはいかがでしょうか。
個人的な見解としては、スープカレーの本当の主役は「野菜」にあると考えています。素揚げにすることで甘みが引き出されたニンジンやジャガイモは、煮込み料理とは一線を画す鮮烈な味わいです。単なる「カレー」という枠組みを超え、北海道の食材のポテンシャルを最大限に引き出すスープカレーは、まさに北の大地が生んだ最高傑作と言っても過言ではありません。一度食べれば、その奥深さに魅了されること間違いなしです。
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