日本政策投資銀行が2019年11月27日に発表した「2019年東北インバウンド意向調査」の結果から、東北地方の観光が抱えるリアルな現状が見えてきました。アジアや欧米豪の海外旅行経験者6,276人を対象とした本調査において、東北の認知度は11.6%と、残念ながら2018年の調査から横ばいの数字にとどまっています。北海道が約60%という圧倒的な知名度を誇る一方で、東北の存在感はまだ発展途上と言わざるを得ないでしょう。
SNS上では「東北の雪景色は最高なのに、知られていないのはもったいない」「もっと交通アクセスをアピールすべき」といった声が上がっています。認知度という、いわば「インバウンド(訪日外国人旅行者)」にとっての入り口部分で苦戦しているのが現状です。実際に東北を訪問したいと考える人の割合も3%と低水準であり、主要観光地としてのブランド力をいかに高めていくかが、2019年現在における喫緊の課題となっています。
リピーターを虜にする東北の底力と都市別の躍進
知名度の低さに反して、実際に訪れた人の「再訪希望率」は65.4%と非常に高く、前年から3.8ポイントも上昇しました。これは九州や四国を上回る驚異的な数値です。特に青森県は、北海道との近接性を活かしたプロモーションや、アジアを結ぶ国際定期便の充実により、訪問希望率で東北1位に輝いています。福島県(28.5%)や仙台市(19.8%)といった都市名も、海外での認知度を確実に積み上げている様子がうかがえます。
特筆すべきは、東北を訪れる外国人の約8割が2回以上の訪日経験を持つ「リピーター」である点です。さらに、6回以上の訪日経験がある「旅の玄人」の割合は33.8%に達し、北海道や九州をも凌駕しています。つまり東北は、ゴールデンルートを制覇した成熟した旅行者が最後に辿り着く、いわば「日本の奥座敷」のような魅力を持っているのでしょう。編集部としては、このコアなファン層をいかに広げるかが鍵だと考えます。
満足度の高い自然美と今後の改善ポイント
旅行者の満足度を探ると、鮮やかな紅葉や情緒あふれる雪景色といった「自然」に対する評価が40%を超えており、世界に誇れる資源であることが証明されました。しかし一方で、美術館や博物館などの施設に対しては一部で不満の声も聞かれます。その背景には、多言語対応を含めた案内サービスの不足があるようです。せっかくの文化的な深みが、言葉の壁によって十分に伝わっていない現状は非常に惜しいと言わざるを得ません。
今後は、訪日リピーターの肥えた目を満足させるような、独自の観光資源の掘り起こしが求められます。単なる名所の紹介ではなく、その土地にしかないストーリーや体験を磨き上げることが、プロモーション活動における最大の武器になるでしょう。2019年という節目において、東北が「知る人ぞ知る場所」から「誰もが憧れる目的地」へと進化を遂げるためには、官民一体となった情報発信の強化が不可欠です。
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