「徳島という土地がいかに女性にとって働きやすい環境であるか、県外へ足を運ぶたびにその価値を再認識します」。そう力強く語るのは、徳島を代表する出版社「あわわ」の会長を務める坂田千代子さんです。2019年11月30日現在、彼女は古くから勤勉でしっかり者として知られる徳島の女性の呼称「阿波女(あわおんな)」を、一時の流行ではなく全国に誇れる強力な地域ブランドへと昇華させようと情熱を注いでいます。
2018年05月、坂田さんは徳島経済同友会において、女性として初となる代表幹事の大役を引き受けました。「女性の力で徳島の経済を動かす」という信念を掲げる彼女は、2020年度から同会内の委員会を「“阿波女”活躍推進委員会」へと名称変更することを提案しています。SNS上では「阿波女という言葉に新しい命が吹き込まれる」「伝統的な呼び名がキャリアの象徴になるのは素敵だ」といった、ポジティブな期待の声が広がっています。
藍商人の文化が育んだ「女性が主役」の土壌
坂田さんが定義する「阿波女」とは、単なる個人の資質を指すものではありません。それは、女性の社会進出を自然に受け入れ、支えてきた徳島独自の「地域の土壌」そのものを意味しています。かつて阿波藍の交易で栄えたこの地では、性別を問わず有能な働き手が重宝される文化が醸成されました。こうした歴史的背景があるからこそ、現代においても女性が気負うことなく、ごく当たり前に才能を発揮できる空気が根付いているのでしょう。
徳島県は、主要な経済3団体のトップをすべて女性が占めるという、全国初の快挙を成し遂げた地域でもあります。女性管理職の比率も全国トップクラスを誇っており、坂田さんは「女性の活躍を後押ししてくれる男性陣の寛容さも、徳島が持つ大きな財産です」と分析します。地元の人々にとっては日常の風景であっても、客観的に見ればこれほど進歩的で魅力的な環境はないという事実に、改めて光を当てようとしています。
坂田さんの歩みは、常に働く女性たちの姿と共にありました。高校卒業後に東京で写真技術を磨いた彼女は、1983年01月に創業間もない出版社へUターン。以来、タウン誌を通じて輝く女性たちを撮り続けてきました。2002年には起業を目指す女性を支援する「阿波女あきんど塾」に参画し、地域に根差した強固なネットワークを構築しています。彼女の眼差しは、常に現場で奮闘する女性たちのリアルな姿を捉えてきたのです。
フィンランド流「ネウボラ」で子育て環境をアップデート
現在、坂田さんが次なる目標として掲げているのが、フィンランド発祥の子育て支援策「ネウボラ」の確立です。ネウボラとはフィンランド語で「助言の場」を意味し、妊娠から出産、そして子どもが小学校に上がるまでの期間、一貫して同じ担当者が家族に寄り添い、相談に乗る仕組みを指します。2018年に現地を視察した彼女は、ワンストップで孤独な育児を防ぐこのシステムの重要性を、肌身で感じ取ったといいます。
人口減少という課題に直面する中で、阿波女のブランド力を高めるためには、子育て環境の圧倒的な優位性が不可欠であると坂田さんは確信しています。仕事での活躍だけでなく、安心して命を育める仕組みが整ってこそ、真の「女性活躍」が完成するのではないでしょうか。彼女が目指すのは、行政と民間が手を取り合い、徳島を「日本一子どもを育てやすく、女性が輝ける聖地」へと進化させる壮大なプロジェクトです。
長年、レンズ越しに多くの女性を見つめてきた坂田さんは、「徳島の女性は本当に美しい」と笑顔で語ります。その美しさは、自立した精神と地域に愛される安心感から生まれるものかもしれません。徳島の「阿波女」が全国から羨望の眼差しを向けられ、この地を目指す人々が増える未来は、すぐそこまで来ているようです。編集部としても、彼女が描く温かく力強い地域社会の実現を、心から応援せずにはいられません。
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