2019年12月03日、韓国の政治中枢である大統領府を舞台に、民主主義の根幹を揺るがしかねない巨大な疑惑が持ち上がりました。2018年06月13日に実施された蔚山市長選挙において、大統領府が警察を動かして野党候補を追い落としたのではないかという、前代未聞の「選挙介入疑惑」が浮上しているのです。
この疑惑の中心にあるのは、当時現職で再選を目指していた野党系の金起ヒョン(キム・ギヒョン)氏と、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の長年の親友である与党系の宋哲鎬(ソン・チョルホ)氏による激戦です。選挙序盤では金氏が圧倒的優位に立っていましたが、突如として警察が金氏の側近に対して家宅捜索を開始したことで、風向きが一変してしまいました。
SNSでは「あまりにタイミングが良すぎる捜査だ」「これは国家権力による選挙妨害ではないか」といった厳しい批判が噴出しています。警察によるこの捜査が、実は大統領府からの指示、いわゆる「下命(かめい)捜査」だったという疑いが持たれており、韓国検察はついに本格的な強制捜査へと舵を切ることになりました。
疑惑の鍵を握る人物と、悲劇的な急展開
今回の騒動で注目を集めているのが、当時の大統領府民情首席秘書官を務めていた曹国(チョ・グク)氏の存在です。「民情首席室」とは本来、公務員の不正監視や民意の把握を担う部署ですが、選挙で選ばれる首長を調査する権限はありません。もし彼らが警察に情報を流していたのなら、明らかな「越権行為(えっけんこうい)」となります。
ここで言う越権行為とは、法律で定められた職務の範囲を超えて、他人の権限に介入する不当な行いを指します。さらに衝撃的なことに、検察から事情聴取を受ける直前だった大統領府の元職員が、2019年12月01日に遺体で発見されました。残された遺書には検察への謝罪が記されており、事件の闇の深さを物語っています。
私個人の見解としては、公正な選挙を最大の公約に掲げてきた文政権にとって、この疑惑は自己矛盾の極みと言わざるを得ません。身内に甘く敵に厳しいという「内規(ネロナムブル)」の姿勢が事実であれば、国民の信頼回復は極めて困難でしょう。一人の尊い命が失われた事実を重く受け止め、真相を究明すべきです。
大統領府側は「不正情報の提供は正当な業務である」と反論していますが、敗北した金氏は2019年12月02日に選挙無効を求めて提訴する意向を表明しました。釜山市の柳在洙(ユ・ジェス)氏を巡る収賄もみ消し疑惑も再燃しており、文政権は今、発足以来最大のピンチに立たされていると言っても過言ではありません。
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