長年、染色加工を手掛けてきた倉庫精練株式会社が、新たな時代を切り拓く独自の生地ブランド「フューチャーシリーズ」を立ち上げました。この新ブランドは、同社が経営再建を進める中で、2017年5月に親会社となった合成繊維のトップメーカー、丸井織物株式会社(石川県中能登町)と初めて製造・販売の連携を図る、記念碑的なプロジェクトとなります。倉庫精練は、この「フューチャーシリーズ」をテコに、現状およそ3割の繊維事業における合成繊維織物の割合を5割へと引き上げ、2021年3月期の営業黒字転換を目指すという、強い意欲を示しています。
2020年からの本格販売が予定されているこの新ブランドは、今年初めに誕生しました。丸井織物が手掛けた高品質な合成繊維生地に対し、倉庫精練が持つ染色や加工技術を駆使する点が大きな特徴です。特に注目すべきは、特殊なフィルムを活用した透湿防水機能の付与や、表面加工による天然素材のような見た目や手触り(風合い)の再現です。これにより、合成繊維が持つ機能性に加え、天然素材が持つ温かみのある表情を両立させているのです。
開発された生地は、その主な特徴に基づき、「表情」「風合い」「機能」「環境」の4つのカテゴリーに整理され、それぞれの魅力を分かりやすくバイヤーなどにアピールしています。主にアウターなどの衣料品向けとして販売されており、すでに約50種類もの試作品が開発されました。特にこの新ブランドでは、環境への配慮が非常に重要なテーマとなっています。
環境に優しい素材づくりを象徴するように、親会社の丸井織物は、2019年5月に「GRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証」を取得しました。この国際的な認証は、製造過程で糸くずなどを原料としたリサイクル糸の使用や、有害な化学物質の使用に関する厳しい規制など、特定の要件を満たした企業のみが取得できるものです。一方、倉庫精練は、シンナーのような有機溶剤ではなく、水で溶かしたコーティング剤を使用する、環境配慮型の加工技術に強みを持っています。
新ブランド「フューチャーシリーズ」では、これらの両社の強みを結集し、GRS認証付きの生地も開発されました。環境意識の高い欧州をはじめとする海外市場への輸出拡大を狙っており、グローバルな視点を持った商品展開を積極的に進める方針です。販売体制については、倉庫精練本社(金沢市内)の敷地内に、交通アクセスが良いという利点を活かしたショールームを開設。この場所を営業活動の重要拠点とし、両社の営業部門が一体となって販売を担う体制を構築しています。
過去の海外事業での失敗などが原因で経営状況が悪化していた倉庫精練は、丸井織物の傘下に入った2017年5月以降、経営再建を急いでいます。2020年3月期の連結営業損益は1億5000万円の赤字を見込んでいますが、これは前年度の2019年3月期から半減しており、改善の兆しが見られます。そして、2019年6月26日に社長就任を予定している羽田学専務執行役員は、「2021年3月期には、わずかな額であっても黒字化を達成したい」と、強い決意を表明しています。
技術革新と人材交流がもたらす相乗効果
営業黒字化の目標達成に向けて鍵となるのは、親会社である丸井織物からの受注を増やし、技術革新を加速させることです。倉庫精練はもともと、植物由来のセルロース繊維やレーヨン、また合成繊維の編み物といった分野を得意としています。しかし、丸井織物が主に手掛ける、細い糸を使った薄手の合成繊維織物の染色経験はまだ少なく、技術的な対応が追いつかない時期があったため、安定した品質での加工・供給が難しく、当初は期待されたほどの相乗効果を生み出せずにいました。
この技術的な課題を乗り越えるために、両社は人材面での緊密な連携を進めています。買収後、丸井織物は技術開発担当の社員を倉庫精練に常駐させていますし、開発会議も2ヶ月に一度のペースで開催しています。また、営業担当や開発担当の社員が、毎日のように倉庫精練を訪れて打ち合わせを行っており、商品開発や新たな販路の開拓が加速度的に進んでいるのです。こうした努力の成果として誕生した新ブランド「フューチャーシリーズ」は、倉庫精練の経営立て直しにおける、まさに重要な「試金石」となることでしょう。
このニュースに対し、SNS上では「老舗の技術と最新の合繊技術の融合は期待大!」「環境配慮型の加工に注目したい」「経営再建、ぜひ頑張ってほしい」といった、両社の挑戦と未来への取り組みを応援する声が多く見受けられます。特に、環境への配慮と機能性を両立させた生地への関心が高く、未来のファッション業界を変える可能性に、読者も大きな期待を寄せている様子がうかがえます。合成繊維のスペシャリストである丸井織物と、高い加工技術を持つ倉庫精練の協業は、日本の繊維産業に新たな活力を与えるに違いありません。
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