少子高齢化が加速する現代において、地方の公共交通機関が維持困難になるニュースは後を絶ちません。新潟県長岡市では、そんな厳しい現実に立ち向かうべく、IT(情報技術)を駆使した画期的な実証実験が次々と行われています。2019年12月05日現在、スマートフォンアプリを活用したタクシーの相乗りや、自家用車による送迎サービスが注目を集めているのをご存知でしょうか。
かつての移動手段だった路線バスが、人口減少の影響で廃止や減便に追い込まれる中、住民の新たな「足」を確保する試みが急ピッチで進んでいます。SNS上では「免許返納後の親の移動が心配だったので、こういったサービスは本当にありがたい」「地方こそテクノロジーの力が必要だ」といった、期待に満ちた声が数多く上がっており、全国的な関心の高さがうかがえます。
自家用車が救世主に?山古志地域で挑む「共助」のカタチ
東京都渋谷区に拠点を置くAzit(アジット)は、NPO法人中越防災フロンティアと手を取り合い、山間部の山古志地域で自家用車を用いた高齢者送迎サービスをスタートさせました。2019年12月20日までの期間限定で実施されるこの試みは、地域内での利用に特化することで、普及に向けた課題を浮き彫りにするのが狙いです。2004年の中越地震以降、交通網が脆弱になったこの地で、ITが救世主となるかが期待されています。
ここで活用されるのは「CREW(クルー)」という、乗りたい人と乗せたい人を結びつけるマッチングサービスです。利用者がアプリで行き先を指定すると、事前審査を通過した70歳未満のドライバーが迎えに来てくれます。こうした形態は、本来なら無許可で客を運ぶ「白タク」として禁じられていますが、このサービスは実費と手数料、そして利用者の善意に基づく「任意の謝礼」という仕組みをとることで法的な枠組みをクリアしています。
しかし、現場では課題も見え隠れしています。アプリの利用にはスマートフォンやクレジットカードが必須ですが、肝心の高齢層にはまだ浸透しきっていないのが現状です。ITリテラシー、つまり「情報を適切に使いこなす能力」の格差をどう埋めるかが、今後の成功を左右するでしょう。単にシステムを導入するだけでなく、地域住民への丁寧なレクチャーをセットで行う姿勢が、今の地方自治体には求められていると感じます。
タクシー相乗りでコスト削減!地方都市ならではのニーズ
一方、長岡駅周辺では、IT企業のNearMe(ニアミー)と地元ハイヤー協会が協力し、タクシーの相乗り実証実験が行われました。2019年07月01日から11月30日にかけて二回にわたり実施されたこのプロジェクトは、地方都市としては全国初の挑戦です。同じ方向へ向かう人をアプリで見つけ出し、運賃をシェアすることで、一人あたりの負担を減らしながら効率的に移動できる仕組みを提供しています。
この実験の結果、興味深い傾向が見えてきました。都市部では深夜の利用がメインとなることが多い相乗りですが、長岡では日中にも一定の需要があることが判明したのです。車社会と言われる地方であっても、お酒を飲んだ後や、病院への通院、買い物など、プロの運転手に頼りたい場面は想像以上に多いのでしょう。こうした潜在的なニーズをデータとして可視化したことは、大きな一歩と言えます。
私自身の考えとしては、こうしたITサービスは単なる利便性の追求ではなく、地域コミュニティを再建する鍵になると確信しています。見知らぬ人同士が車内で言葉を交わし、助け合う文化がデジタルを通じて復活する。それは、孤立しがちな現代社会における新しい「縁」の形ではないでしょうか。長岡市の挑戦が、日本の地方再生における輝かしいモデルケースとなることを切に願っています。
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